桐谷広人さんの長期保有株を調べたあと、少しだけ「優待株をもっと持つのも面白いかも」と思いました。
配当を受け取りながら、食事券や買い物券も届く。しかも優待があると、株価が上下しても簡単には売らずに済む。長期投資との相性も良さそうに見えます。
ところが、自分の保有株を改めて見たら、すでにビックカメラ、セブン&アイHD、ツルハHD、サンリオなど、優待のある株を結構持っていました。
さらに前回の記事で桐谷さんの10年・20年保有株を答え合わせした結果、優待株だから市場平均より儲かるわけでもないことが分かりました。
そこで今回は、「桐谷さんと同じ銘柄を買う」ではなく、桐谷さんを調べて得た考え方を、自分の生活とポートフォリオに当てはめてみます。
結論を先に書くと、いま追加候補として考えているのは、すかいらーくHD、JR東日本、西武ホールディングスの3社。加えて、新しい銘柄を増やす代わりに、すでに20株持っているSBIホールディングスを100株まで増やす案です。
ただ、調べれば調べるほど「優待株をたくさん持とう」という方向にはなりませんでした。
むしろ、共働きで子育て中のわが家なら、本当に生活で使い切れる優待だけを少数持つ方が合っていそうです。
※株主優待、配当、株価等は2026年9月30日時点で確認しています。株価は直近取引日である9月29日終値を使用しています。制度は変更・廃止される可能性があります。本記事は筆者自身の検討記録であり、特定銘柄の購入を勧めるものではありません。
桐谷さんを調べて変わった「優待株」の見方
前回の記事では、桐谷さんが10年、20年と長期保有してきた銘柄を、株価・配当・優待・市場平均の観点から答え合わせしました。
そこで一番印象に残ったのは、「優待株は儲かる」という単純な話ではなかったことです。
優待は、良い会社を途中で売らずに持ち続けるための補助輪になります。一方で、事業や株価が悪化した会社でも、優待への愛着が売却を遅らせるブレーキになることがあります。
もう一つ大きかったのが、優待の額面と、自分にとっての価値は別だということです。
- 5,000円分の食事券でも、普段から使う店なら5,000円に近い価値があります。しかし、期限切れになれば0円です。優待を消化するためだけに電車に乗って遠くへ行けば、交通費と時間までかかります。
詳しい検証は前回の記事「桐谷さんの長期保有株を答え合わせ|10年・20年で株価・配当・優待は本当に報われた?」でまとめています。
今回やりたいのは、その続きです。
桐谷さんの保有銘柄をコピーするのではなく、「自分なら、どんな優待なら本当に使うのか」を考えます。
まず自分がすでに持っている優待株を棚卸しした
私が2026年9月時点で持っている主な優待関連株は次のとおりです。
- ビックカメラ 100株
- セブン&アイHD 100株
- ツルハHD 100株
- サンリオ 100株
- SBIホールディングス 20株
- タカラトミー 30株
全ポートフォリオではこのほかにETFや個別株もあります。最近は個別株を増やしすぎず、ETF・インデックスを土台にしたいと考えています。
実際、すでに持っている優待株を見るだけでも、役割はかなり違います。
すでに「買い物」「日用品」「レジャー」という生活に近い優待を持っています。ビックカメラは家電や消耗品、セブン&アイHDやツルハHDは日常の買い物、サンリオは家族レジャーに使える可能性があります。
一方、SBIHDとタカラトミーは、今の株数では100株以上向けの主な優待の対象外です。制度の額面を細かく比べるより、すでに生活費へ置き換えやすい優待を複数持っていることの方が重要でした。
新しい優待株を1社増やせば、優待が1つ増えるだけではありません。決算、権利月、制度変更、優待の到着、利用期限まで、管理対象も1社増えます。
だから今回は、「良さそうな優待を全部集める」のではなく、今あるものより生活との相性が良いかまで見ます。
私が優待株を選ぶときの基準
優待利回り順には並べません。
私の場合、見る順番は次のようになりました。
- 優待をほぼ使い切れ、もともとの生活費を置き換えられるか
- 優待のために余計な買い物や移動が発生しないか
- 優待が廃止されても、その会社を持ちたいか
- 既存のポートフォリオと重なりすぎないか
- 管理する銘柄を1社増やす価値があるか
必要資金や配当、事業の長期性は、この5つを通過した候補を比較するときに確認します。
特に重要なのが3番です。
「優待が廃止された瞬間に売りたくなる会社なら、そもそも優待だけを理由に買わない」。前回の桐谷さんの記事を書いたあと、自分の中ではこれがかなり分かりやすい基準になりました。
もう一つ、今回の検討で意識したのが「優待利回り」より「生活費をどれだけ置き換えられるか」です。これは正式な投資指標ではなく、私なりの見方です。年間5,000円の優待でも使わなければ価値は0円に近い。一方、年間3,000円でも、必ず買う日用品や外食費を3,000円置き換えられるなら、わが家では後者の方が価値があります。
結論を先に比較すると、候補は4つに絞れた
- 2026年9月29日終値をもとに、100株の必要資金と現在の制度を並べるとこうなります。
| 銘柄 | 9/29終値 | 100株の目安 | 100株での主な優待 | 配当の確認状況 | 今の自分の位置づけ |
|---|---|---|---|---|---|
| すかいらーくHD | 3,125円 | 約31.3万円 | 年間4,000円分 | 2026年予想27円 | 100株候補 |
| JR東日本 | 3,337円 | 約33.4万円 | 株主サービス券。通常の鉄道4割引券は300株から。100株でも2年以上継続保有なら追加1枚 | 2026年度予定84円 | 長期保有候補 |
| 西武HD | 3,525円 | 約35.3万円 | 年1回、片道乗車証2枚+各種施設優待 | 2027年3月期予想42円 | 買うなら少しずつ |
| SBIHD | 3,080円 | 約30.8万円 | 2026年3月末基準では100株からXRP2,000円相当または商品セット | 中間30円、年間は未定だが95円以上を目指す方針 | 20株から100株への買い増し候補 |
並べてみると、100株の優待を取るにはどれも30万円前後の資金が必要です。
「年間4,000円の優待がもらえる」とだけ見ると手軽ですが、実際には30万円を一つの会社へ投資し、株価下落リスクも引き受けます。
この視点を入れると、優待額だけで選ぶ気はかなり薄れます。
追加候補1:すかいらーくHD 家族外食の生活費を直接減らせる
今のところ、一番分かりやすい追加候補はすかいらーくHDです。
理由は単純で、ガストなどの系列店を家族で利用しやすいからです。
- 100株では、6月末と12月末の年2回、各2,000円分、年間4,000円分の株主優待が受け取れます。現在は電子化され、1円単位で使えます。
わが家の場合、優待が届いたからガストへ行くのではありません。もともと家族で外食する選択肢に入っています。
ここが大きいです。
「優待を使うために外食する」のではなく、「どうせ発生する外食費の一部を優待へ置き換える」。この順番なら、額面に近い価値を得やすいと考えています。
- 100株で止めても成立しやすいのも好みです。
一方で、使いやすい優待と、株として割安かどうかは別問題です。
- 2026年9月29日終値は3,125円なので100株で約31.3万円。年間4,000円の優待だけを理由にすると、それなりの資金を置くことになります。
業績面では、会社は2026年の年間配当予想を27円へ引き上げ、中期事業計画も前倒しで進んでいると説明しています。新規出店や資さんうどんなどの成長策も進めています。
ただし外食企業なので、人件費・食材費などのコスト上昇や消費動向の影響は受けます。優待が使いやすいことだけで、株価や業績のリスクが消えるわけではありません。
私の判断としては、「新しく優待株を1社増やすなら100株候補」と考えています。
追加候補2:JR東日本 優待より「長く持てる会社か」を重視
JR東日本は、調べる前と後で見方が少し変わりました。
最初は「新幹線が4割引になるなら、家族旅行で使えるのでは」と考えます。
ただし、現在の制度では通常の株主優待割引券は300株からです。300株なら年1枚。100株では通常分は0枚で、100株以上を2年以上継続保有した場合に長期保有分として1枚が発行されます。
この1枚はJR東日本の営業路線内の対象となる片道運賃・料金を4割引にできます。
つまり、「100株買えばすぐ新幹線4割引」という理解は正確ではありません。
一方で、2026年6月発行分から、NewDaysや駅の飲食、ホテルなどで使える株主サービス券は100株以上へ対象が広がりました。
それでも、私がJR東日本を候補に残した理由は優待そのものより事業です。
JR東日本は現在、鉄道中心の会社から、モビリティと生活ソリューションの「二軸経営」を進めています。経営ビジョン「勇翔2034」ではSuicaを事業基盤へ広げ、不動産、駅周辺開発、商業、ホテル、金融、デジタルサービスなどを成長させる方針です。
鉄道利用者数だけに成長を依存せず、沿線・駅・不動産・デジタルまで広げようとしている点は、長期保有を考えるうえで重要だと感じました。
- 2026年度の年間配当は84円を予定しています。
子どもが大きくなれば国内旅行は増えるかもしれません。そのとき長期保有の4割引券が使えれば、優待の実用価値も上がります。
ただ、旅行するかもしれないから株を買う、では順番が逆です。
「鉄道だけではなく、生活圏・不動産・Suicaまで含めて長く持ちたい会社か」を先に考え、その副産物として優待を受け取る。この持ち方なら候補に残せます。
追加候補3:西武HD 生活圏ど真ん中。ただし少しずつ買いたい
生活との相性だけなら、西武ホールディングスは最も分かりやすい候補です。
私は小川駅周辺で生活しており、西武線は日常的に使います。
- 100株以上300株未満では、3月末基準の年1回、株主優待乗車証の片道きっぷが2枚。さらに、1会計2,000円ごとに1,000円引きになる共通割引券3枚、レストラン10%割引券10枚など、ホテル・レストラン・レジャー関連の優待もあります。
ただし、ここでも額面をそのまま足しません。
共通割引券は、そもそも西武グループの対象施設で2,000円以上使うことが前提です。使う予定がなければ価値は0円に近づきます。
乗車証2枚は生活圏と合っていますが、普段の短距離移動だけなら金額としては大きくありません。
それでも候補に残るのは、「沿線に住んでいるから」だけではありません。
西武グループは「西武グループ長期戦略2035」で、人口構造の変化などを事業環境の変化として認識しつつ、不動産事業を核とした成長戦略を掲げています。ホテル・レジャーでは2035年度に国内外250ホテル体制を目指し、都市交通・沿線事業では沿線価値向上と業務のスマート化を進めています。
配当はDOE2.0%を下限とする累進配当を掲げ、2027年3月期も年間42円を計画しています。
ここは面白い一方、私にはまだ迷いがあります。
鉄道は人口減少の影響を受けやすい事業です。不動産、ホテル、インバウンド、資産活用へどう広がっていくのかは、優待より重要です。
だから今の判断は「沿線住民だから即100株」ではなく、「将来性を確認しながら少しずつ買う」です。
生活圏との相性が強いからこそ、優待への親近感だけで判断しないようにしたいと思っています。
新規株よりSBIHDを20株から100株へ増やす手もある
もう一つ考えているのが、新しい優待銘柄を追加する代わりに、すでに20株持っているSBIホールディングスを100株まで増やす方法です。
- 2026年3月末基準の制度では、100株以上1,000株未満の株主は、XRP2,000円相当か、SBIアラプロモの商品セットを選択できました。
9月29日終値は3,080円。100株なら約30.8万円ですが、私は20株持っているので、同じ株価なら追加80株は約24.6万円です。
新しい会社を1社増やすより、すでに持っている会社を100株まで育てる方が、管理対象を増やさずに済みます。
ただし、これは優待だけ見れば、すぐ買い増したいという話ではありません。
私はMUFGや銀行ETFなども持っているため、すでに金融セクターへの投資があります。SBIHDを増やせば、金融への偏りはさらに強くなります。
また、SBIHDは2027年3月期の中間配当を30円としていますが、年間配当予想は現時点では未定です。会社は前期実績換算の1株95円以上を目指すとしていますが、「年間95円の会社予想が確定している」わけではありません。
ここは優待より、ポートフォリオ全体の金融比率を先に見るべきです。
その意味でSBIHDは、「余裕資金があれば20株を100株へ育てる候補」にとどめています。
金融株への偏りについては、以前「1631銀行ETF vs 1632金融ETF」でも自分の保有状況を確認しました。
楽天銀行・SBI新生・クリレスなどを今回は見送った理由
候補を探していると、他にも魅力的な優待はたくさん出てきます。
でも今回は、「良い優待か」ではなく「今の自分が新しく持つ必要があるか」で落としました。
楽天銀行
- 2026年9月末基準の株主優待では100株以上が対象で、3カ月もの円定期預金の金利が通常年0.50%に対して0.25%上乗せされます。さらにマネーブリッジ、楽天カードの口座振替、給与・賞与受取などの条件で金利上乗せがあります。公式例では600万円を預けた場合の利息も示されています。
面白い制度ですが、優待効果を大きくするには株を買うだけでなく、預金資金をどこに置くかまで変わります。
私なら「優待が欲しいから楽天銀行を買う」より、楽天銀行そのものの成長性に投資したいかで判断します。
SBI新生銀行
- 2026年3月末基準では100株からXRP約2,000円相当またはアラプラスの商品を選べます。
ただし会社は、次年度以降の優待実施について改めて検討すると明記しています。
私はすでにSBIHDを持ち、金融株も複数あります。SBIHDとSBI新生銀行を両方優待目的で増やすより、まずSBIHDを100株へするかを考える方がシンプルです。
クリエイト・レストランツHD
- 100株で年2回、各1,500円、年間3,000円分の食事優待があります。
少額から外食優待を得られる点は魅力ですが、すかいらーくを買うなら、外食優待だけを理由に何社も増やす必要はないと判断しました。
外食優待の封筒が増えて、使い切るために店を選び始めたら、本末転倒です。
タカラトミー
現在30株持っています。
- 2026年3月末基準では100株以上500株未満でオリジナルトミカ2台セットが対象です。
子どもがこれからトミカやプラレールにハマれば、100株へ増やす理由は自然に強くなります。逆に、まだ何が好きになるか分からない今は急ぐ必要がありません。
これは「生活が変わったら100株にする」待機候補にしました。
既存の100株銘柄
ビックカメラのように、すでに100株持っている銘柄は、優待目的だけで株数を増やしたときの効率が下がる場合があります。
ビックカメラは100株で年間3,000円、500株で年間5,000円。優待だけを見ると、追加400株に対して増える基本優待は年間2,000円です。一方、長期保有優待は100株以上から受けられます。
それなら、優待目的では100株を長く持つ方が自分には合います。
ツルハHDやセブン&アイHDも、すでに100株で生活に近い優待を受けられる状態です。
「優待があるから買い増す」ではなく、「事業や株価を見て、それでも増やしたいか」を別に考えます。
優待株を調べたのに、結局「増やしすぎない」という結論になった
ここまで調べる前は、桐谷さんの記事を書いた流れで、優待株をもう少し増やしてみたい気持ちがありました。
ところが、自分の生活に当てはめて真面目に選ぶと、逆の結論になりました。
- すかいらーくHDは、家族外食で使いやすいので100株候補
- JR東日本は、優待より会社そのものを長く持てるかで考える候補
- 西武HDは、生活圏との相性は強いが、将来性を確認しながら少しずつ
- SBIHDは、新規銘柄を増やす代わりに20株から100株へ育てる案。ただし金融への偏りを確認
それ以上は、無理に増やさなくていいと思っています。
桐谷さんは、たくさんの優待を管理し、使い切ること自体を生活の一部として楽しんでいます。それは一つの完成した投資スタイルだと思います。
でも、共働きで小さい子どもがいる家庭が同じ銘柄数をそのまま再現すると、優待管理が新しい家事になりかねません。
私が桐谷さんから参考にしたいのは、保有銘柄数ではありません。
実際に使う優待を選ぶこと。
良い会社を簡単に売らないこと。
ただし、優待への愛着だけで悪くなった会社を持ち続けないこと。
この3つです。
私はもともと個別株も好きですが、投資の土台はETF・インデックスへ寄せています。個別株を完全にやめない理由については、こちらの記事でも整理しました。
優待株を増やすなら、優待一覧を見る前に自分の支出一覧を見る
株主優待を探していると、「○円相当」「総合利回り○%」という数字に目が行きます。
優待株を探すために企業の優待一覧を見ていましたが、自分の生活で考えるなら、先に見るべきだったのは、わが家の支出一覧でした。
そこへ自然に当てはまる会社なら、優待は生活費を少し減らしながら、株を長く持つ理由にもなります。
逆に、優待を使うために生活を変えるなら、額面ほどの価値はありません。
今の私なら、すかいらーくを100株候補、JR東日本を長期候補、西武HDを少しずつ検討、SBIHDを余裕資金があれば100株へ、というところまでです。
それ以外は急ぎません。
桐谷さんを調べた結果、優待株を増やしたくなったのに、最終的には「本当に使うものだけ少数持つ」に落ち着きました。
たぶん、わが家にとってはそのくらいがちょうどいいのだと思います。
他の家庭なら、生活圏、利用店舗、旅行頻度、資産配分によって答えは変わります。だからこそ、銘柄ランキングより先に、自分の生活を棚卸しする方が優待株選びには効きそうです。


