Gmailを整理していたら、2014年に保有していた米国株の記録が出てきました。
SBI証券からマネックス証券へ米国株を移管しようとしていたメールです。そこにはApple、Amazon、Google、Microsoft、Palo Alto Networksなど、今見るとかなり強い名前が並んでいました。
しかも、これは「米国株をちょっと試してみた」という程度ではありません。当時の自分にとっては主力のポートフォリオでした。
では、この15銘柄を一度も売らず、2026年まで持ち続けていたらどうなっていたのか。
株式分割、社名・ティッカー変更、買収による現金化まで追いかけて計算してみると、主シナリオでは約60,748ドルになりました。
ただ、今回いちばん面白かったのは金額そのものではありません。
良い会社を早く見つけることと、その株を10年以上持ち続けることは、まったく別の能力だったということです。
※この記事は2014年6月4日のメールに残っていた「移管予定銘柄・数量」を起点にした仮定計算です。実際の取得単価や売却時期を再現した損益計算ではありません。
2014年、実際に持っていた米国株15銘柄
メールに残っていたのは次の15銘柄です。
- AAPL(Apple) 1株
- AMZN(Amazon) 2株
- DDD(3D Systems) 5株
- FB(現Meta Platforms) 1株
- GOOG 2株
- GOOGL 2株
- INTC(Intel) 3株
- KO(Coca-Cola) 1株
- MSFT(Microsoft) 5株
- MU(Micron Technology) 5株
- NKE(Nike) 10株
- PANW(Palo Alto Networks) 1株
- TWTR(旧Twitter) 5株
- V(Visa) 1株
- VMW(VMware) 10株
今の時点から見ると、Apple、Amazon、Google、Microsoft、Visa、Palo Alto Networksあたりが目立ちます。
当時は仕事柄、ITやテクノロジー企業を見る機会が多く、「これから伸びそうだ」と思った会社を自分で選んでいました。
未来の時価総額ランキングを当てるつもりだったわけではありませんが、12年後から振り返ると、結果的にかなり強い企業が入っていたことになります。
一方で、3D Systems、Intel、Nike、Twitter、VMwareも入っています。
AppleやAmazonだけを抜き出せば「先見の明があった」で終わりますが、それでは都合が良すぎます。今回は15銘柄を全部追います。
「12年間売らなかったら」をどう計算したか
計算の起点は、2014年6月4日のメールに記載されていた株数です。
そこから2026年9月16日の米国市場終値まで、次のルールで追跡しました。
- 株式分割は、その後の株数に反映
- 社名やティッカー変更は、経済的な持分を引き継ぐ
- 買収や非公開化で株式が消滅した銘柄は、実際の買収対価で現金化
- 配当、配当再投資、税金、売買手数料は含めない
- 為替も入れず、ドルベースで比較
- 買収で受け取った現金は、その後再投資せず現金のままと仮定
つまり、「当時の株数をそのまま放置していたら、株式や現金として何が残っていたか」を見る計算です。
取得単価が残っていないため、これはリターンやCAGRの計算ではありません。
15銘柄は2026年にどうなっていたか
主シナリオでの仮定評価額は次のとおりです。
- AAPL:1株 → 28株 9,307.48ドル
- AMZN:2株 → 40株 9,838.40ドル
- DDD:5株 → 5株 15.70ドル
- FB:1株 → META 1株 673.31ドル
- GOOG:2株 → 40株 13,574.40ドル
- GOOGL:2株 → 40株 13,714.80ドル
- INTC:3株 → 3株 303.15ドル
- KO:1株 → 1株 87.87ドル
- MSFT:5株 → 5株 2,451.50ドル
- MU:5株 → 5株 4,632.75ドル
- NKE:10株 → 20株 715.60ドル
- PANW:1株 → 6株 2,253.90ドル
- TWTR:5株 → 買収で現金化 271.00ドル
- V:1株 → 4株 1,483.72ドル
- VMW:10株 → 買収で現金化 1,425.00ドル
合計は60,748.58ドルです。
なお、VMwareはBroadcomによる買収時に現金またはBroadcom株を受け取る選択肢があり、最終的には按分も行われました。この記事では「選択せず現金を受け取ったケース」を主シナリオにしています。
株式を選択した場合を最終按分まで機械的に当てはめると、ポートフォリオ全体は約64,464ドルになります。ただし小口株主の端数処理などで実際の受取額は変わり得るため、こちらは参考値です。
約6万ドルより気になった「中身」
合計約6.07万ドルという数字だけを見ると、そこまで派手ではありません。
むしろ自分が気になったのは、その内訳です。
GOOGL、GOOG、Amazon、Appleの4つだけで約46,435ドル。全体の約76%を占めます。
12年間の結果は、かなり少数の大きく伸びた銘柄に引っ張られていました。
これは個別株投資の難しさをよく表していると思います。
勝ち株を持っているだけでは足りません。
その銘柄を途中で売らずに持ち続けること。そして、資産全体に効く程度の数量を持っていること。この2つまでそろわないと、資産全体へのインパクトは意外と大きくなりません。
当時の自分にとって、この15銘柄は主力でした。それでもAppleは1株、Amazonは2株、GOOGとGOOGLも2株ずつです。
「AppleもAmazonもGoogleも持っていた」という事実と、「それで人生が変わるほど資産が増えた」は、まったく別の話でした。
なぜ実際には売ってしまったのか
ここで「握力が弱くて、値上がりしたらすぐ売ってしまった」と書ければ分かりやすいのですが、実際は少し違います。
もともとは複数年持つつもりでした。
ただ、その後は米国個別株から撤退し、資産を円建て中心へ移すことにしました。その過程で、最終的には米国個別株をすべて売却しています。
一部の銘柄はその前に売っていた可能性もありますが、正確な売却時期や順番までは覚えていません。メールなどでも確認できなかったので、そこは推測で補わないことにします。
つまり、Appleの将来性を疑ったから売った、Amazonが怖くなって売った、という単純な話ではありません。
個別企業の判断というより、ポートフォリオ全体の持ち方を変えた結果です。
実は「持っておけばよかった」ともあまり思っていない
12年後の株価を見れば、「全部そのまま持っていればよかった」と言いたくなります。
でも、自分にはそこまで強い後悔はありません。
その後も米国株へ投資していた時期があり、昔持っていた銘柄を買い直したこともあります。
何より、今の株価を知った状態で2014年の自分に「売るな」と言うのは簡単です。
当時は、その企業が10年以上成長を続けるか分かりませんでした。
実際、15銘柄を全部見ると、結果はかなりばらついています。Twitterは買収で非公開化され、VMwareもBroadcomに買収されました。3D Systemsの現在価値は小さく、IntelやNikeもAppleやAmazonのような伸び方ではありません。
「成長株は売らずに一生持てばいい」という結論も、12年後から見た後知恵になりかねません。
良い会社を見つける力と、長く持てる仕組みは別だった
今回、昔のポートフォリオを復元して一番感じたのはここです。
2014年の自分は、仕事柄伸びそうな会社を探し、実際にApple、Amazon、Google、Microsoft、Palo Alto Networksなどを買っていました。
銘柄選びだけを見れば、かなり良いところを拾っています。
それでも、12年間そのまま保有することはできませんでした。
投資では「何を買うか」が目立ちますが、「どう持つか」も同じくらい重要です。
個別株として持つのか。
ETFにするのか。
どのくらいの金額を入れるのか。
どんな条件なら売るのか。
そもそも10年間、その投資方法を続けられるのか。
この設計がないと、良い銘柄を見つけても、長期的な結果にはつながりにくいと感じます。
2026年の自分なら、同じ15銘柄をどうするか
では、今の自分が2014年に戻って、同じように米国企業へ投資するならどうするか。
たぶん、15銘柄をそのまま米国市場で個別に買う形にはしません。
現在は米国個別株から撤退しているので、米国市場へ投資するなら東証に上場している米国株ETFなどを使い、円で売買・管理しやすい形にすると思います。
もちろん、東証上場ETFだから為替リスクが消えるわけではありません。為替ヘッジなしの商品なら、中身は米国株なので為替変動の影響も受けます。
それでも、自分にとっては「長く続けやすい器」で持つことの方が重要になりました。
現在の投資ルールについては「2026年の投資戦略ルール」で整理しています。
また、長期保有そのものを無条件に正解だと考えているわけではありません。個別株で痛い目を見た話は「投資歴17年・爆死録」でも書いています。
まとめ:当てるより、持ち続けられる仕組みの方が難しい
2014年のメールから出てきたポートフォリオには、Apple、Amazon、Google、Microsoft、Palo Alto Networksなどが入っていました。
仮に一度も売らず、株式分割や買収を反映して2026年まで持っていたとすると、主シナリオの評価額は約60,749ドルです。
でも、この計算から自分が得た教訓は「米国の成長株は売らずにガチホすべきだった」ではありません。
- 良い会社を早く見つけること
- 十分な数量を持つこと
- 10年以上売らずに持つこと
- 自分が続けられる投資方法にすること
この4つは別の問題です。
12年前の自分は、良い会社をかなり早い段階で見つけていました。
一方で、それを長く持ち続ける仕組みまでは作れていませんでした。
未来の勝ち株を当てることより、自分が長く続けられる運用方法を作る方が、実は難しいのかもしれません。

