SnowflakeはAI時代に再成長できる?Databricksとの違い・AI戦略・将来性をITエンジニアが検証

SnowflakeはAI時代に伸びる?企業データ基盤を検証

※2026年9月時点の情報をもとにしています。個別銘柄の売買を推奨する記事ではありません。

2014年、私はApple、Amazon、Google、Microsoft、VMware、Facebook、Palo Alto Networksなどの米国株を持っていました。

今振り返れば、その中にはその後のIT業界を代表する企業が何社もあります。ただ、私はそれらを2026年までずっと持ち続けたわけではありません。

この経験から感じているのは、「伸びる会社を早めに見つけること」と「その会社の成長を理解して長く持ち続けること」は、まったく別の能力だということです。

そこで今回から、ITエンジニアの視点で「次の10年の企業ITで重要な場所を取る会社」を技術・事業・投資の3方向から見ていきます。

第1弾はSnowflakeです。

私が今回確かめたいのは、Snowflakeの株価が上がるかどうかではありません。

「AIモデルがどんどん賢くなったとき、企業が持つデータをAIへ安全につなぐ基盤の価値はむしろ高まるのか。そしてSnowflakeは、その重要な場所を取れる会社なのか」

ここを考えてみます。

Snowflakeとは結局、何の会社なのか

Snowflakeを一言で「クラウドDWH(データウェアハウス)の会社」と説明することはできます。

ただ、2026年のSnowflakeを見るには、この説明だけでは少し古くなっています。

企業には販売、顧客、会計、Web、IoTなど大量のデータがあります。それらを集め、分析できる状態にし、必要な人やシステムから安全に利用できるようにする。その中心に入ろうとしているのがSnowflakeです。

イメージすると、こんな位置です。

業務システム
↓
販売・顧客・会計・IoTなどのデータ
↓
企業のデータ基盤
↓
Snowflake
↓
AIモデル・AIエージェント
↓
社員や業務システム

従来は「データを集めてSQLで分析する」ことが中心でした。

ところが生成AIが普及すると、そのデータを人間だけでなくAIも読むようになります。Snowflakeはそこで、単なるDWHから「企業データとAIの間にある基盤」へ広がろうとしています。

なぜSnowflakeはこれほど注目されたのか

Snowflakeが伸びた理由の一つは、従来型DWHの面倒さをクラウド前提で作り直したことです。

代表的なのが、データを保存するストレージと計算するコンピュートを分離した設計です。必要なときに必要な計算資源を使いやすく、インフラ管理の負担も減らせました。

さらにAWSだけ、Azureだけというサービスではなく、複数のクラウド上で提供されます。

企業間でデータを共有する仕組みもSnowflakeの特徴です。

つまりSnowflakeが売ってきたのは単なる「データを置く箱」ではなく、企業が大量のデータを扱うときの面倒を減らす仕組みだった、と考える方が分かりやすいです。

ではAWS・Azure・Google Cloudだけで十分ではないのか

ここはSnowflakeを見るうえで、かなり重要な反論です。

AWSにはRedshiftとBedrockがあります。MicrosoftにはFabric、OneLake、AzureのAIサービスがあります。Google CloudにはBigQueryとGeminiがあります。

単一クラウドへかなり深く寄せている企業なら、わざわざSnowflakeを追加しなくてもクラウド事業者のサービスだけで完結できるケースは当然あります。

しかもAWS、Microsoft、Google自身がデータとAIを近づけています。

ではSnowflakeを使う理由はどこに残るのか。

候補になるのは、複数クラウドをまたいだ一貫したデータ利用、データ共有、ガバナンス、そしてすでにSnowflakeへ集まっている企業データです。

逆に言えば、この差が小さくなるならSnowflakeにはかなり大きなリスクです。

Snowflake vs Databricks。本当の違いはどこにある?

Snowflakeを考えるならDatabricksは避けて通れません。

項目 Snowflake Databricks
出発点 SQL、BI、DWH Spark、データエンジニアリング、機械学習
強かった領域 企業データ分析、データ共有、ガバナンス 大規模処理、ML、Lakehouse
AI時代の方向性 Snowflake上の企業データをAIから安全に使わせる データ処理・ML・AIエージェントを統合する
関係性 共存もあるが、企業データ+AI基盤では競合が強まる 同左

以前なら「SnowflakeはDWH、DatabricksはLakehouse」と整理しても、それなりに分かりやすかったと思います。

しかし2026年には、その境界がかなり曖昧です。

SnowflakeはIcebergやHorizon Catalogなどを通じてオープンなデータとの連携を強めています。一方DatabricksもUnity Catalog、AI/BI、Agent Bricksなどを展開し、分析だけでなく企業データとAIをまとめて扱う方向へ進んでいます。

つまり両社とも、最終的にはかなり似た場所を取りに来ています。

もちろん共存もできます。データエンジニアリングやMLではDatabricks、BIやデータ共有ではSnowflake、と使い分ける企業も考えられます。

ただし企業側が「データとAIのプラットフォームをできるだけ統合したい」と考えるほど、両社の競争は強くなります。

AI時代にSnowflakeの価値は上がるのか

ここが今回、一番考えたかった部分です。

生成AIの進化を見ていると、どうしてもOpenAI、Anthropic、Googleなどモデルを作る企業へ目が行きます。

ただ、企業がAIを実際の仕事に使おうとすると、別の問題が出てきます。

  • うちの売上データはどこにある?
  • この社員はどこまで見ていい?
  • 顧客情報をそのまま外部LLMへ送っていい?
  • この数字は最新なのか?
  • AIが参照したデータは正しいのか?

AIモデルが賢いだけでは解決しません。

むしろGPTやClaudeやGeminiの性能差が小さくなり、用途によってモデルを交換できるようになるほど、企業固有のデータ、文脈、権限を管理する側が重要になる可能性があります。

ここにSnowflakeの大きなチャンスがあります。

Snowflake自身もAI企業へ変わろうとしている

Snowflakeは基盤モデルそのものを作る会社になろうとしているわけではありません。

現在はCortex AI、Cortex Agents、Cortex Sense、Cortex AI Gatewayなどを展開し、Snowflake上のデータをAIから利用するための機能を増やしています。

CoCoやCoWorkの利用アカウントも増えています。

特に興味深いのが、OpenAIやAnthropicなど複数のAIモデルをSnowflakeのガバナンス境界の中から扱いやすくする方向です。

これは「どのAIモデルが勝つか」に賭ける戦略とは少し違います。

モデルがOpenAIでもAnthropicでも、そのモデルが企業データを使うときにSnowflakeを通る。

Snowflakeにとって理想なのは、おそらくこちらです。

AIが普及するとSnowflakeはどうやって儲かるのか

SnowflakeのProduct Revenueは基本的に利用量に応じて増えるモデルです。

  • 企業のデータが増える。
  • 分析が増える。
  • AIがデータを検索・加工する。
  • AIエージェントが何度もデータへアクセスする。

こうした処理がSnowflake上で動けば、コンピュートなどの消費が増えます。

そのため「AI機能を販売する」ことだけがAIによる収益機会ではありません。

AIが普及した結果、Snowflakeに置かれたデータの利用頻度そのものが上がることも重要です。

一方で、AI推論にはコストもかかります。AI利用が増えればそのまま高利益になる、と単純には考えない方がよさそうです。

数字を見ると本当に再加速しているのか

ここは2026年のSnowflakeを見るうえで面白いところです。

FY2027 Q2の売上高は15.47億ドル、Product Revenueは14.92億ドルで前年同期比37%増でした。

Product Revenueの成長率を見ると、FY2026 Q4は+30%、FY2027 Q1は+34%、FY2027 Q2は+37%と3四半期連続で加速しています。

会社はFY2027通期のProduct Revenue予想も60.70億ドル、前年比36%増へ引き上げました。

顧客数は14,554社。直近12カ月のProduct Revenueが100万ドルを超える顧客も828社あります。

これだけを見ると「Snowflakeは再加速した」と言いたくなります。

ただし、少し慎重に見る必要があります。

RPO(残存履行義務)は90億ドルで前年同期比30%増。NRR(既存顧客からの売上維持・拡大率)は126%です。

Product Revenueほどすべての指標が一斉に加速しているわけではありません。

したがって現時点では、「成熟して終わった会社」ではなさそうですが、「AIで再び爆発的な成長局面へ入った」と断定するのも早い、くらいが妥当だと思います。

投資対象として見ると、話は少し厳しくなる

事業が面白いことと、株が割安なことは別です。

まずSnowflakeはまだGAAPベースでは営業赤字です。

FY2027 Q2のGAAP営業損失は約2.63億ドル。一方、Non-GAAP営業利益は約2.37億ドルでした。

この差を見るうえで無視できないのがStock-Based Compensation(SBC、株式報酬)です。

同四半期のSBCは約4.24億ドル。売上高の約27%に相当します。

SBCは現金流出を伴わないため、Non-GAAP利益やFCFを見る意味はあります。

しかし株主から見ると「無料」ではありません。新しい株式が発行されれば、1株あたりの持分は薄まります。

そのためSnowflakeでは、成長率、利益率、FCF、SBCと株式数、競争優位、バリュエーションをセットで追う必要があります。

さらに2026年9月時点では時価総額が1,000億ドルを大きく超え、売上高に対する評価もかなり高い水準です。

Snowflakeが良い会社かどうかだけではなく、「市場が期待しているほど良い会社になれるか」が株主には重要になります。

5〜10年後もSnowflakeが重要企業であるための条件

Snowflakeが次の10年でも重要企業になっているとすれば、いくつか条件がありそうです。

  • 企業AIの競争力の源泉が企業固有データになること。
  • AIエージェントが増えることでSnowflake上のデータ利用量が大きく増えること。
  • DatabricksにAI・データ基盤の主導権を奪われないこと。
  • AWS、Microsoft、Googleの垂直統合に対して、独立したデータ基盤を使う理由を維持できること。
  • 成長しながらSBC比率を下げ、GAAPベースでも利益を残せる会社になること。

逆にSnowflakeが期待ほど伸びないシナリオ

反対のシナリオも考えておきます。

  • Databricksが企業データ+AIの事実上の標準になる。
  • AWS、Microsoft、Googleが自社クラウド内でデータからAIまで十分便利に統合してしまう。
  • AIモデルやAIエージェントがSnowflakeを介さず、各業務システムやデータソースへ直接安全にアクセスできるようになる。
  • AIによる新しい利用量が、期待したほどProduct Revenueを押し上げない。
  • 会社は順調に成長しても、現在の高いバリュエーションを正当化するほどではない。

これは企業として失敗していなくても、投資としては厳しくなる可能性があります。

まとめ:Snowflakeは有力候補。ただし「AIだから伸びる」では足りない

今回調べる前は、Snowflakeについて「AI時代になると企業データの重要性が上がるので、かなり有利なのでは」と考えていました。

調べてみると、その仮説自体はかなり筋が通っています。

Product Revenueは再加速しており、Snowflake自身もCortexやAIエージェント、モデル管理へかなり積極的に広がっています。

一方で、最も大きな反論もはっきりしました。

企業データとAIをつなぐ場所が重要になることに気づいているのは、Snowflakeだけではありません。

DatabricksもAWSもMicrosoftもGoogleも、同じ場所を狙っています。

つまり、「AI時代に企業データ基盤が重要になる」と「だからSnowflakeが勝つ」は別の話です。

私が今後Snowflakeを見るなら、株価そのものより、Product Revenueの成長率、AI機能が実際の消費を増やしているか、RPOとNRR、SBC比率と株式数、Databricks・hyperscalerに対する差別化を追います。

2014年に伸びるIT企業をいくつか持っていた経験からすると、企業を早く見つけるだけでは十分ではありません。

10年後もその会社が重要な場所を握り続けている理由を理解できるか。

Snowflakeについては、「企業データとAIの間」という場所がその候補に見えます。

ただ、その場所を本当にSnowflakeが取れるのかは、これから数年かけて確認する価値がありそうです。

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