「AIが伸びると思うなら、AI関連ETFを買えばいい」
最初は私も、かなり大ざっぱにそう考えていました。
ただ、実際に日経半導体株指数連動ETFの200Aを保有したり、米国テック株の2244を使ったり、キオクシアのような半導体個別株を売買したりしていると、同じ「AI関連」でも投資しているものはかなり違うことに気づきます。
半導体そのものに投資するのか。その中でもメモリに絞るのか。AIを使う大型テック企業まで含めるのか。あるいは、AIを支えるデータセンターや電力設備に投資するのか。
この違いを整理しないまま商品名だけ比較すると、「AIに投資しているつもりだけど、実際には何の成長を期待しているのか」が分かりにくくなります。
そこでこの記事では、これまで効率家ラボで調べてきたAI・半導体関連のETFや個別株を、「何に投資するか」という視点で整理します。
個別商品の細かな構成銘柄や比較は、それぞれの専門記事に任せます。
※本記事は特定の商品や銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身でお願いします。
AI・半導体投資は全部同じではない
AI関連投資をかなり単純化すると、私はこんなイメージで整理しています。
AIサービス・AIを活用する企業
↑
AIモデル・ソフトウェア・大型テック
↑
データセンター・電力・通信などのAIインフラ
↑
半導体
└ メモリなど特定分野
さらに、これらのテーマをETF・ETNでまとめて持つ方法もあれば、キオクシアやソフトバンクグループのような個別企業を直接持つ方法もあります。
つまり「AIに投資する」という言葉だけでは、実際の投資対象は決まりません。
| 投資対象 | 代表的な商品・記事 | 何を取りにいくか |
|---|---|---|
| 日本の半導体全体 | 200Aなど | 日本の半導体関連企業 |
| メモリ | 639A | DRAM・NANDなどメモリ関連企業 |
| 半導体個別株 | キオクシアなど | 特定企業の成長 |
| AIテーマ全体 | 408A | AIに関わる企業群 |
| AIインフラ | 643A | データセンターを支える設備・インフラ |
| 米国大型テック | 2244など | AIの恩恵を受ける大型テック企業 |
| AI関連企業 | ソフトバンクGなど | 特定企業のAI戦略・企業価値 |
もちろん、実際にはきれいに分かれているわけではありません。半導体企業がAIデータセンター向け製品を作ることもありますし、大型テック企業がAIモデルとデータセンターの両方へ巨額投資することもあります。
この分類は銘柄を完全に分離するためではなく、「自分はAI産業のどこが伸びると思っているのか」を考えるための地図です。
日本の半導体産業全体を見るなら200A
私が現在も使っているのが、日経半導体株指数への連動を目指す200Aです。ここで狙っているのは、特定の半導体企業ではなく、日本の半導体関連企業をまとめて持つことです。
私は以前、2644なども含めて検討したうえで200Aを選びました。その理由や実際に保有して分かったことは、こちらの記事にまとめています。
関連記事:なぜ私は2644をやめて、日経半導体ETF(200A)を選んだのか
また、同じ日経半導体株指数への連動を目指す商品にも200A・213A・221Aがあります。「日本の半導体へ投資する」と決めた後、どの商品を使うかについてはこちらで比較しています。
関連記事:200A・213A・221Aを比較|同じ日経半導体ETFなら結局どれを買う?
このHubでは商品同士の細かな違いまでは扱いません。まず重要なのは、200Aが「AI全体」ではなく、日本の半導体産業というレイヤーを取りにいく選択肢だということです。
半導体の中でもメモリに絞るなら639A
半導体よりさらに範囲を狭める考え方もあります。その一例が、グローバルのメモリ関連企業を対象とする639Aです。
AI向けサーバーではGPUだけでなく、HBMをはじめとするメモリも重要になります。つまり「半導体全体が伸びる」ではなく、「AI投資の中でもメモリ需要が特に伸びる」と考えるなら、投資対象のレイヤーはさらに細くなります。
関連記事:639A グローバル・メモリETFは買いか?200A保有者が構成銘柄を調べて少額積立を考えた理由
そしてメモリというテーマは、私が実際に売買してきたキオクシアにもつながります。
ETFではなく半導体企業そのものを持つ
ETFではなく、特定の半導体企業へ直接投資する方法もあります。私の場合、その代表例がキオクシアでした。
ETFとの大きな違いは、テーマ全体が好調でも、その企業の決算や需給、業績見通しによって株価が大きく動くことです。私はキオクシアで、その値動きの大きさを実際に経験しました。
関連記事:キオクシア爆死録
半導体ETFと半導体個別株は、似ているようでかなり違います。ETFでは「半導体というテーマ」を持ちやすい。個別株では「その会社」を持つことになります。
半導体だけでなく「AI全体」を見るなら408A
AIの成長を期待していても、「半導体だけに絞る必要はない」と考えることもできます。そこで調べたのが、408A(iシェアーズ AI グローバル・アクティブ ETF)です。
200Aが日本の半導体という比較的分かりやすいテーマなのに対して、408Aはより広いAI関連企業を投資対象として考える商品です。
半導体産業を取りたいのか。それとも、AIというテーマをもっと広く取りたいのか。ここで考え方が分かれます。
関連記事:iSベストAI(408A)は買いか?BAI構成銘柄と運用ルールで徹底検証【2026年版】
AIブームを支えるインフラに投資する
AI投資というと、GPUや半導体企業が目立ちます。しかし、AIを動かすにはデータセンターが必要です。そしてデータセンターには、電力設備、空調、建設、通信などさまざまなインフラが必要になります。
この「AIそのものではなく、AIを動かすために必要なもの」に注目したのが643Aです。
643AはETFではなくETNなので商品構造も異なりますが、このHubで重要なのはそこではありません。投資対象として、AIの主役企業ではなく、AI投資拡大によって必要になるインフラを見るという別の考え方があることです。
関連記事:643Aは買いか?データセンターインフラ日本株ETNを分析|AIブームの裏側に投資
米国大型テックからAI成長を取る
私が使ってきたもう一つの選択肢が2244です。2244は「AI専用ETF」ではありません。米国の大型テック企業へまとめて投資する商品です。
ただ、現在の大型テック企業の多くはAIへ巨額の投資をしており、AIの成長と無関係ではありません。
「AI関連企業だけを選びたい」という考え方とは少し違い、AIの成長も含めて米国大型テック企業の成長を取りたいという位置づけです。
関連記事:2244 USテック・トップ20 vs 楽天・テック12|20社でも尖ってるのに12社まで絞る意味はある?
ETFではなく「AI企業そのもの」を見る
さらに個別企業まで絞る方法もあります。私が保有してきたソフトバンクグループもその一例です。
ソフトバンクGは単純な「AI企業」と呼ぶには事業構造が複雑ですが、ArmやOpenAIなどへの関与を通じてAIへ大きく資本を振り向けています。
ここまで来ると、AI市場全体への投資というより、「この会社のAI戦略が企業価値につながるか」を見る投資になります。当然、AI市場が成長するかだけでなく、その企業固有のリスクも大きくなります。
関連記事:ソフトバンクGは何の会社?Arm・OpenAIと「NAV半値」の中身を保有者が分解
結局、「何が伸びると思っているか」で読む記事が変わる
ここまで整理すると、商品名から考えるより、自分が何の成長を期待しているかから逆算した方が分かりやすくなりました。
日本の半導体産業 → 200A
半導体の中でもメモリ → 639A
特定の半導体企業 → キオクシアなど
AIテーマ全体 → 408A
データセンター・AIインフラ → 643A
AIを含む米国大型テック → 2244など
特定企業のAI戦略 → ソフトバンクGなど
ここで注意したいのが、商品を複数持てば必ず分散になるわけではないことです。
違うETFを買っていても、中身を見ると同じ企業や同じAI投資サイクルの影響を強く受けていることがあります。逆に、同じ「AI関連」と呼ばれていても、半導体とデータセンター設備では業績が動くタイミングが違う可能性があります。
だから私は、AI関連商品を比較するときに「どれが一番強そうか」だけを見るのではなく、何の成長に賭けている商品なのかを先に見るようになりました。
私はETFと個別株をどう使い分けているか
実際にいろいろ触ってきて、今のところ自分の中ではかなり単純な整理になっています。
ETFは「テーマ」を持つ。
個別株は「企業」を持つ。
日本の半導体産業全体に期待するなら、私は個別の半導体株を何社も選ぶより、200AのようなETFの方が考えやすい。
一方で、「この会社を取りたい」という理由が明確なら個別株になります。キオクシアでは、個別株ならではの大きな値動きも経験しました。
その経験もあって、「AIが伸びる」という大きな話と、「この企業の株価が上がる」という話は分けて考えるようになりました。
AI・半導体というテーマに投資するときほど、テーマに投資したいのか、企業に投資したいのか。ここを最初に決めるだけでも、商品選びはかなり整理しやすくなると思います。
まとめ|商品名より「AI産業のどこを持つか」から考える
AI・半導体関連の商品は増えています。しかし、全部を同じ「AI関連」として比べると分かりにくくなります。
私自身、200A、2244、キオクシアなどを実際に触り、408A、639A、643Aなどを調べる中で、商品を選ぶ前に、AI産業のどこに投資したいのかを決めた方がいいと考えるようになりました。
日本の半導体なのか。メモリなのか。AIテーマ全体なのか。データセンターなどのインフラなのか。米国大型テックなのか。それとも特定企業なのか。
このHubでは、その地図を整理しました。
それぞれの商品や企業について詳しく知りたい場合は、該当する専門記事で構成銘柄や実際の投資判断まで掘り下げています。
今後もAI・半導体関連の記事が増えた場合は、このページを起点に「AI産業のどこへ投資する話なのか」が分かる形で整理していきます。
