地域×IoTの実証を、総務省が後押し!
「IoTを使って地域課題を解決したいけど、予算やノウハウが足りない…」
そんな自治体・企業・大学に向けて、総務省が実証支援を行っているのが「地域社会DX推進パッケージ事業」です。
この記事では、制度の概要や支援内容、そして現在間に合う「計画策定支援(第3次公募)」についても簡潔に紹介します。
制度の目的:地域課題の「実証→導入」までを一気通貫で支援
この事業は、地域の現場課題をIoTやデジタルの力で解決するために、自治体と民間が連携して実証・導入を進める取り組みを支援するものです。
特に注目すべきは「実証で終わらせない」こと。将来の本格導入や他地域への横展開も意識された設計になっています。
公募の流れと今後のタイミング
2025年度(令和6年度)は、以下のような構成で公募が進められています:
公募 | 内容 | 状況 |
---|---|---|
1次公募 | 実証・導入支援 | 募集終了 |
2次公募 | 実証・導入支援 | 6月上旬に採択結果発表(終了) |
3次公募 | 計画策定支援(初期構想段階) | 募集中(2025年6月時点) |
計画策定支援は今からでも間に合う!
「実証に踏み出したいけれど、まだ構想段階なんだよな…」という自治体・企業にとって、この「計画策定支援」は貴重なチャンスです。
- 実証フェーズに進む前の「構想整理」「課題分析」「体制づくり」などが支援対象
- 将来の1次・2次公募での実証につなげる布石になる
- 公募締切は例年よりやや遅く、夏〜秋にかけての応募が可能
支援内容と対象者(参考:2次公募時点)
項目 | 内容 |
---|---|
補助上限 | 実証:3,000万円程度 計画策定:数百万円規模(参考) |
対象給費 | 機器、ソフト開発、人件費、外部委託等 |
実行体 | 自治体+企業・大学等の連携コンソーシアム |
対象分野 | 農業、医療、防災、観光、教育など広範囲 |
👀技術選定のヒント:どんな技術が向いているのか?
- LoRaやWi-Fi HaLowなどの**省電力×長距離通信(LPWA)**は、農業・環境・防災など“屋外×広域”で活躍
- クラウドカメラ+AI解析は監視・見守り・交通など“視覚情報×判断”に強み
- BLEやWi-Fiなどの近距離通信+スマホ連携は、観光・教育・施設案内に向いている
実証に使える通信技術は多岐にわたりますが、「対象物がどこにあるか」「電源が取れるか」「誰が使うか」の3点から選定を考えると、技術選びがスムーズになります。
🔍 採択事例紹介:沼田町におけるWi-Fi HaLow活用の通信基盤整備(2025年度 総務省採択)
北海道の沼田町では、「携帯電波の不感地帯」という中山間地域ならではの課題を解決するため、Wi-Fi HaLowを活用したスマート農業・防災インフラの構築が進められています。
主なポイント:
- 中継拠点+Wi-Fi HaLowによる広域通信網を構築
- RTK対応の自動運転農機や緊急連絡手段としての利活用を想定
- 電源はソーラーパネル+蓄電池により、インフラ未整備地域でも稼働
- 自然災害・鳥獣害などへの対応に加え、住民の安心・安全確保にも貢献

出典:総務省 地域社会DX推進パッケージ事業 採択事例(北海道沼田町)
※Wi-Fi HaLowを活用し、中継拠点やRTK対応機器との通信を可能にする構成イメージ
このように、Wi-Fi HaLowの「遠距離×省電力×障害物に強い」という特性が活かされており、今後同様の山間部・農業地帯での横展開も期待されます。
🌱 技術導入の観点では、「設置場所に電源はあるか?」「どれくらいの距離を飛ばす必要があるか?」といった視点からの設計が重要です。
実務者視点:現場に沿ったプランが勝ち組
応募前に押さえておきたい3つの観点
私がこの制度を調べて感じたのは、技術の面白さだけではなく「現場と行政の温度感」が噛み合う必要があるという点です。
- 「何のためにやるのか」が語れるか
→ 技術の最新性よりも、「誰の困りごとを解決するのか」が重要。 - 書類作成のハードルはそれなりに高い
→ 公募要領は30ページ超。自治体・企業連携のプロジェクト計画書を、きっちり作る体制が必要。 - 地域の巻き込み力が問われる
→ 住民や事業者、行政職員の理解・協力がなければ実証は成功しない。技術者側が“現場に入り込む覚悟”を持てるかも大切。
🔎 中小企業も参加できる
- 単独ではなく、自治体や大学との連携でコンソーシアムに入る形が基本
- 地方自治体とつながるには、既存の商工会・地域DX推進組織・自治体の産業政策課などへの接触が有効
- すでに自治体とのつながりがある企業に共同提案を持ちかけるという方法もあり
予算規模が小さくても、先進的な技術を持っている企業が“核”となって提案される事例も増えています。
⚙ 技術者にとってのリアルな障壁とは?
実証はできても、「そのあとどう導入につなげるか」で止まってしまう例は多くあります。
- 地元に運用できる人がいない
- 維持費・保守の費用感が自治体と合わない
- データを誰がどう見るのかが決まらない
この事業では、導入に向けた“制度的・組織的な設計”も評価対象となるため、技術者も早い段階から運用設計・持続性の視点を持つことが重要です。
今後の展望と記事の更新方針
この制度は、今後も年次継続される可能性が高いため、本ブログでは:
- 今回の記事では制度全体と3次公募の概要を紹介
- 2026年度の公募開始時期にあわせて、記事を追加・またはアップデート予定
特に、採択実績が出揃った段階での「技術別・業種別の実証事例分析」も別記事で展開予定です。
🔗参考リンク
🧩おわりに
「地域課題をデジタルで解決したい。でも何から始めれば…?」
という方こそ、まずは計画策定支援への応募から検討してみるのがおすすめです。
今後も本ブログでは、公的支援制度×技術導入に関する情報をわかりやすくお届けしていきます。
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