以前この記事では、『12月出産×育休をうまく組み合わせれば、社会保険料や税金をかなり最適化できるのでは?』という計画を書いていました。
その後、2025年12月に実際に第一子が生まれ、私は約3か月の育休を取得しました。妻も産休から育休に入り、2026年はほぼ1年間育休。制度を実際に使った今読み返すと、当時の記事には直した方がいい点がいくつかあります。
特に分かりにくかったのが、『育休中の社会保険料免除』と『扶養』です。
先に結論を書くと、12月出産だから自動的に得になるわけではありません。重要なのは、育休をいつからいつまで取るのか、賞与月の月末をまたぐのか、妻のその年の課税対象となる収入はいくらなのか、です。
この記事では、わが家の実体験をベースに、2026年時点の制度で答え合わせします。
先に結論|12月出産そのものより「育休期間」と「年間所得」が重要
- 月額の健康保険・厚生年金は、長期育休なら月末をまたぐ期間が基本。短い育休には「開始月に14日以上」という別ルールがある
- 賞与の健康保険・厚生年金を免除する条件はもっと厳しく、賞与月の末日を含む「連続した1か月を超える育休」が必要
- 育児休業給付金は非課税なので、妻の配偶者控除を判定するときの合計所得には含めない
- 税金上の「配偶者控除」と、健康保険の「被扶養者」は別制度
旧記事では、この「扶養」の部分をかなり雑にまとめていました。ここは今回明確に訂正します。
わが家の実際の育休スケジュール
第一子は2025年12月生まれです。
私は11月末から妻の実家で生活を始め、12月は前半に有給休暇も使いながら、出産後に育休へ入りました。その後は出生時育児休業と通常の育児休業を使い、2026年2月まで妻の実家で家族3人で生活。3月に仕事へ復帰しました。
結果として、育休期間は約3か月です。
当初は「賞与月に育休を取ると社会保険料が得」という情報も気にしていましたが、実際には賞与だけを狙って短く休んだわけではありません。新生児期に一緒に育児するためにまとまった休みを取り、その結果として社会保険料免除の条件にも当てはまる形になりました。
この順番は大事だったと思います。制度に育児を合わせるより、必要な育休期間を決めたうえで、制度上どう扱われるかを確認する方が自然です。
月額の社会保険料|「毎月14日休めば免除」ではない
育休中は、事業主が手続きをすることで健康保険・厚生年金保険料が免除されます。
基本は、育児休業等を開始した月から、終了日の翌日が属する月の前月までです。つまり、数か月にわたる育休なら、その期間の月額保険料が免除対象になります。
一方、育休の開始日と終了日の翌日が同じ月に入るような短期育休でも、開始月に14日以上の育休を取得すれば、その月の月額保険料が免除されるルールがあります。
ここで注意したいのは、「1月に14日、2月に14日休めば2か月分が必ず免除」という意味ではないことです。
14日要件は、短期育休の開始月について設けられているルールです。長期育休の月額保険料は、月末を含む育休期間との関係で判定されます。
私自身、制度を調べていた当初はこの2つを混ぜて理解していました。育休を分割する人ほど、開始日・終了日と月末の位置関係を会社の人事・給与担当に確認した方が安全です。
賞与の社会保険料|月末+「1か月超」が必要
賞与はさらに条件が違います。
2022年10月以降に開始した育児休業では、賞与にかかる健康保険・厚生年金保険料が免除されるのは、賞与が支給された月の末日を含み、かつ連続して1か月を超える育児休業等を取得した場合です。
「賞与支給日に育休を取っていればいい」「月末だけ休めばいい」という制度ではありません。
私の場合は12月から3月まで約3か月の育休だったため、少なくとも「12月末を含む連続1か月超」という形には当てはまります。
一方で、実際の賞与明細を見ると控除欄が完全にゼロになったわけではなく、当時は「免除されていないのでは?」と少し混乱しました。
ここで分けて考える必要があるのが、健康保険・厚生年金と雇用保険です。育休中の社会保険料免除として一般に説明されるのは健康保険・厚生年金で、給与や賞与の支払いがあれば別の控除項目が残ることがあります。
そのため、明細を見るときは「控除額がゼロか」ではなく、健康保険、厚生年金、雇用保険を項目別に確認した方が分かりやすいです。
実際、私の給与明細でも12月支給分では健康保険・厚生年金が引かれていないことを確認しました。ただし、会社によって保険料の控除タイミングは異なるため、「12月支給の給与なら必ずこうなる」と一般化はできません。
育休中の妻は夫の扶養に入れる?|税金と社会保険で答えが違った
今回、一番誤解していたのがここです。
旧記事では、「育休で妻の収入が減っても夫の扶養には入れない」という趣旨で書いていました。これは社会保険の話と税金の話を混ぜています。
税金上は配偶者控除の対象になり得る
2026年、妻はほぼ年間を通して育休で、給与収入は年間35万円程度になる見込みです。
育児休業給付金は非課税で、配偶者控除の判定に使う合計所得金額には含まれません。
2026年分は、配偶者の所得が給与だけなら給与収入136万円以下が配偶者控除の一つの目安です。私自身にも所得要件がありますが、給与収入約890万円という現在の見込みなら、他の所得を含めた最終的な合計所得を確認したうえで、配偶者控除の対象になる可能性が高いと考えています。
つまり、税金上は「育休中の妻を配偶者控除の対象にできない」どころか、今年はむしろ確認すべき項目です。
社会保険では妻は自分の会社の被保険者のまま
一方、健康保険・厚生年金は別です。
妻は勤務先に在籍したまま育休を取っているため、基本的には自分の会社の健康保険・厚生年金の被保険者資格を維持します。そのうえで、育休期間中の健康保険・厚生年金保険料が免除されます。
そのため、「収入が減ったから夫の健康保険の扶養へ切り替える」という話ではありません。
- 税金:配偶者控除・配偶者特別控除
- 社会保険:健康保険の被扶養者
同じ「扶養」という言葉でも別制度です。自分でもここを混同していたので、今回のリライトで一番直したかった部分です。
2025年4月からは「出生後休業支援給付金」も確認したい
現在は、育児休業給付に加えて「出生後休業支援給付金」という制度もあります。
2025年4月から始まった制度で、出生直後の一定期間に14日以上の育児休業を取得するなどの要件を満たすと、最大28日間、休業開始時賃金日額の13%相当が追加で支給されます。
通常の育児休業給付67%と合わせると80%で、厚生労働省は社会保険料免除・非課税も考慮して「手取り10割相当」と説明しています。ただし給付額には上限があります。
父親の場合、妻が産後休業中であれば「配偶者も14日以上育休を取る」という要件の例外に該当します。
わが家のように、出産直後から夫がまとまった育休を取る家庭なら確認しておきたい制度です。
12月出産は本当に「得」だったのか
では結局、12月出産は税金や社会保険の面で得だったのでしょうか。
今の答えは、「12月だから得」とは言い切れない、です。
たしかに、12月に賞与がある会社では育休期間と賞与月が重なる可能性があります。ただし賞与保険料の免除には1か月超の育休が必要です。
また、妻の配偶者控除についても、重要なのは出産月ではなくその年の年間所得です。
わが家では2026年に妻がほぼ年間育休となり、給与収入が約35万円に下がる見込みだから配偶者控除を検討できます。これは「12月に生まれたから自動的に控除が増えた」という話ではありません。
さらに、16歳未満の子どもには通常の扶養控除がありません。
制度上の数字だけを見ると「○月に産むと得」という話を作りたくなりますが、実際に子どもが生まれてみると、出産時期を節税のために最適化する発想は優先順位が逆だったと思います。
育休の期間や復職時期を決めた後に、使える制度を取りこぼさない。それくらいの距離感がちょうどいいです。
今なら育休前にこの5つを確認する
- 育休の正確な開始日と終了日
月額保険料の免除月を判断する基本になります。 - 賞与月の月末を育休期間が含むか
賞与保険料は「1か月超」の条件もセットで確認します。 - 給与明細の健康保険・厚生年金・雇用保険を別々に見る
「社会保険料」という一括りで見ると混乱しやすいです。 - 配偶者の年間の課税対象収入
育児休業給付金を給与収入に足してしまわないようにします。 - 年末調整と確定申告で自分が申告する項目
わが家の場合、2026年は配偶者控除に加えて、住宅ローン控除初年度やふるさと納税なども重なります。
まとめ|制度に育児を合わせるより、育児に必要な期間を決めて制度を確認する
以前は、「12月出産」「賞与月」「育休」「年子」などを組み合わせれば、かなり効率よく制度を使えるのではないかと考えていました。
実際に第一子が生まれて約3か月育休を取った今は、少し考え方が変わりました。
社会保険料の免除は確かに大きいですし、育児休業給付や配偶者控除も知っているかどうかで手続きが変わります。
ただし、得するために育休期間を決めるのではなく、家庭として必要な育休を取ったうえで、その期間に使える制度を正しく確認する方が大事でした。
- 月額保険料と賞与保険料では免除条件が違う
- 育児休業給付金は非課税
- 税金上の扶養と社会保険上の扶養は別物
私自身、旧記事を書いた時点ではここを十分整理できていませんでした。
制度は変わりますし、会社の給与・賞与の締めや控除タイミングも違います。育休を取るときは、厚生労働省・日本年金機構・国税庁の最新情報と、自社の人事・給与担当の案内を合わせて確認するのが確実です。


