ビットコインは半導体株と異なる値動きをする分散候補ですが、急落時の保険としては頼りにくい結果でした。
SOX指数と2016年以降のデータを比べ、国内で暗号資産ETFが出たら少額保有を検討したい僕の考えを整理します。
なぜビットコインを分散先として考えたのか
僕は以前、楽天ウォレットをポイントの使い道として1か月ほど使いました。ただ、ポイントもまとまると無視できない額になります。それなら株や投信への投資に使う方が自分には合理的かな、と考えて引き上げました。
メタプラネット株も買ったことがあります。こちらは話題に乗って買い、ブームが落ち着いたかなと感じて手放した、という判断でした。現在は持っていません。
それでも、暗号資産への興味がなくなったわけではありません。国内でETFとして購入できるようになったら、少額保有を検討したい気持ちはあります。
ただ、そこで期待している分散は、本当に得られるのでしょうか。半導体と名前も仕組みも違うから、というだけで判断する前に、実際の値動きを比べることにしました。
SOX指数との相関は0.23。ただし、時期によって変わる
SOX指数は、半導体の設計・製造・流通・販売などに関わる企業で構成される米ドル建ての株価指数です。今回は、この指数とビットコインの米ドル価格を比べました。日本の半導体ETFそのものとの比較ではありません。
調べたのは価格水準ではなく、前の取引日から何%動いたかという「騰落率」の相関です。相関は−1から+1の範囲を取り、+1に近いほど一緒に上下し、0に近いほど直線的な連動が弱くなります。
0.23だから23%の確率で同じ方向に動く、という意味ではありません。
| 期間(終端2026/10/21) | 日次相関 | 週次相関 |
|---|---|---|
| 2016年以降 | 0.23 | 0.16 |
| 2020年以降 | 0.34 | 0.24 |
| 2024年以降 | 0.30 | 0.23 |
全期間では連動は限定的です。ただし、2020年以降だけで計算すると日次相関は0.34になります。さらに年ごとでは2022年が0.53、2023年が0.12と、同じ組み合わせでも差がありました。
「昔は連動が弱かったから、これからも分散になる」と決めてしまうのは早そうです。なお、相関が低いだけでは、組み合わせた資産全体の値動きが小さくなるとは言えません。追加する資産自体の変動の大きさや、持つ割合にも左右されます。
半導体株が急落した日の約69%で、ビットコインも下落
知りたかったのは、普段の連動だけではありません。半導体株が大きく下がったときに、ビットコインが支えになるのか、です。
そこで、SOXの1取引日の下落率が3%以上だった日を、比較期間からすべて抽出しました。該当した191回のうち、ビットコインも下がったのは131回、約69%。この条件でのビットコインの平均騰落率は−1.82%でした。
参考までに、比較期間の全2,715区間でビットコインが下がった割合は約47%でした。半導体が大きく下がる日に、反対方向へ動いてくれるとは期待しにくい結果です。ただし、この集計だけで原因や統計的な有意差まで確かめたわけではありません。
週単位でも見ました。SOXが5%以上下落した42週のうち、ビットコインも下落したのは24週、約57%でした。一方、この42週のビットコインの平均騰落率は約+0.15%で、中央値は約−0.94%です。
日次と週次で印象は変わります。毎回一緒に下がるわけでも、半導体の下落時に必ず損失を広げるわけでもありません。それでも、下落を打ち消してくれる資産として当てにするには不安が残ります。
同時に大きく下がった時期も、下げ幅が違った時期もある
具体的な期間で見ると、違いが分かりやすくなります。次の3期間は結果を説明するために選んだ例で、すべての急落局面を網羅するものではありません。
| 期間 | SOX騰落率 | BTC騰落率 |
|---|---|---|
| 2020/2/19〜3/23 | −32.2% | −33.4% |
| 2022年(前年末比) | −35.8% | −64.1% |
| 2024/7/10〜8/5 | −23.5% | −6.5% |
コロナ急落期は、両方とも3割強の下落でした。2022年はビットコインの下げ幅の方が大きくなっています。
一方、2024年夏の例では、SOXが約23%下がる間、ビットコインの下落は約6%にとどまりました。同じ期間でも動きの大きさは違います。
この違いを見ると、分散先として考える余地はあります。ただ、2024年夏の例だけを取り出して「暴落対策になる」と言うこともできません。
比較方法と、この検証で分からないこと
価格データはYahoo Finance配信のSOX指数(^SOX)とBTC/USD(BTC-USD)を使用しました。共通の価格日付は2016年1月4日〜2026年10月21日、2,716日分です。騰落率の比較は2,715区間。SOXの取引日に対応するビットコイン価格の欠損はありませんでした。
日付をそろえてから「当日の終値÷前の共通取引日の終値−1」で単純騰落率を求め、ピアソン相関を計算しています。米国株の休場日にビットコインだけ動いた分も、次の共通取引日までの騰落率に含めました。週次は金曜、休場なら同じ週の最終共通取引日を使い、最後の未完了週は除外しています。
注意点は価格の時刻差です。SOXはニューヨーク時間16時の終値、ビットコインは同じ日付のUTC日末価格を使用しており、約4〜5時間ずれます。厳密に同時刻へ合わせた比較ではありません。そのため日次の結果だけに頼らず週次も掲載しましたが、週次でも時刻差そのものは残ります。
また、今回はドル建ての価格比較です。円換算、SOX構成銘柄の配当、ETFの費用、売買費用、税金は含みません。2022年の比較は2021年12月31日〜2022年12月30日の共通終値を使っています。
ここから分かるのは、調べた期間におけるSOXとビットコインの値動きの関係です。特定の比率で組み合わせた場合のリスク低下、少額積立の運用成績、国内ETFの将来の成績までは検証していません。日本の半導体株や、個別の保有銘柄にそのまま当てはまるとも限りません。
分析条件とデータの終端を固定した検証として、今後の判断材料に使ってください。過去の相関が将来も続くとは限りません。
出典
記事中の相関・急落時の集計・期間騰落率は、上記配信データを用いた独自計算です。計算条件確認日:2026年10月25日。
結論|国内ETFが出たら少額保有は検討したい
今回の結果を見ても、国内で暗号資産ETFが買えるようになったら、少額だけ持ってみようかな、という気持ちはあります。
ただし、その期待は少し整理できました。半導体と常に同じ動きをするわけではないので、別の値動きを持つ資産として気になる。一方で、半導体株が下がるときの保険として頼るつもりなら、今回の結果では心もとないです。
実際に商品が出たら、何を保有するETFなのか、費用や売買のしやすさはどうかを確認してから考えたいところです。ETFとして買えるようになっても、ビットコイン自体の価格変動が小さくなるとは限りません。
読者の方も、追加する目的を一度分けてみると判断しやすいと思います。ビットコインの値上がりを期待するのか、半導体と異なる値動きを持ちたいのか、それとも株の下落時に損失を抑えたいのか。同じ少額投資でも、確かめるべきことは変わります。
例えば、資産全体の2%を投じたビットコインが半分になれば、その分だけで全体に約1%の損失です。他の資産の動きや費用は含めない単純な例ですが、毎月の積立額だけでなく、保有額が全体の何%になるかも見ておきたいところです。この2%は推奨比率ではありません。
少額で試すことと、守りの役割を任せることは別。今の僕は、ここを分けたうえで、国内ETFが選択肢になったときに改めて考えようと思っています。

