2025年、楽天証券がついに一般口座向けに証券担保ローンを解禁しました。これまでIFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)経由でしか使えなかったこのサービスが、ついに誰でも使える時代に。これにより、「信用取引」と「証券担保ローン」の2つの資金調達手段が並ぶことになります。
果たして、どちらを選ぶべきなのか?この記事では、それぞれの違いと使い方、私自身の活用方針を解説します。
証券担保ローンとは?
証券担保ローンとは、自分が保有している株式やETFを担保に、証券会社から資金を借りる仕組みです。
信用取引とは異なり、借りたお金の使い道は自由であり、株の追加購入はもちろん、納税や副業資金、さらには不動産投資の頭金として使うこともできます。
担保となる証券の評価額に「掛け目(楽天証券では60%)」を掛けた金額が、借り入れ可能な上限となり、借りた資金は通常、自分の銀行口座に入金されます。
返済期限が設定されていないことも多く、長期で資金を使いたい人に向いたローンです。 ただし、担保にできるのは原則として東証上場の国内株式やETFに限られ、NISA口座や低位株、一部の整理銘柄などは対象外となるため注意が必要です。さらに、取引可能な最小単元あたりで3万円以上の評価額があることも条件となっており、投資信託も対象外です。
信用取引と証券担保ローン:徹底比較
比較項目 | 信用取引 | 証券担保ローン(楽天証券) |
---|---|---|
資金用途 | 株式売買のみ | 自由(株式購入、納税、生活費など) |
金利 | 年2.8%〜3.8%程度 | 年1.875%〜3.875%(借入額に応じ変動) |
担保資産 | 自社内で決済される信用建玉 | 国内上場株式(NISA対象外) |
掛け目 | 30〜50%(保証金) | 60%(担保評価額の6割を借入可能) |
返済期限 | 原則6ヶ月以内 | 期限なし(任意返済) |
ロスカット | あり(強制決済・追証) | あり(担保割れで強制売却の可能性) |
空売り | 可能 | 不可 |
気になるポイント
投資心理の視点
券担保ローンも担保評価が下がれば強制売却のリスクはあるため、余力を持った借入設計と、冷静な対応力が求められます。相場が下がったときの追証や強制決済は、冷静な判断を奪うことが多い。担保ローンは返済期限がないぶん、長期戦に強い。
証券運用の視点
楽天証券の証券担保ローンは、担保掛け目60%という水準が優遇されている点に注目。担保評価も毎営業日更新されるが、信用取引と違ってポジション管理がややシンプル。信用口座と併用可能だが証券担保ローンの担保にするか、信用取引の保証金に割り当てるかどちらかを選択することになる。
資産形成の視点
金利が比較的安定していて、かつ用途が自由という点は非常に魅力。副業資金や納税だけでなく、不動産投資の頭金に使う人も実際に出てきている。資産を動かさずに別の資産へレバレッジをかけられる点が今後注目される。
私はこう使う:証券担保ローンの戦略的活用
私自身、すでに活用を始めています。
たとえば、評価額300万円の高配当株を担保に100万円を借入れ、その資金でさらに高配当株を購入しました。金利は1.875%〜2.875%程度ですが、購入した株の配当利回りがそれを上回る場合、その差額が実質的な利益になります。
例えば、100万円借り入れて配当利回り5%の株を買った場合、年間の差額は約22,000円、月ベースで約1,833円のプラスです(税引前)。 少額とはいえ、株価が維持されていればレバレッジの恩恵を実感できます。 ただし、当然ながら配当が減配されたり、株価が大きく下落した場合には、利回りと金利の逆転や担保評価の低下によるリスクも生じます。利回り差だけを見て借りすぎるのではなく、分散投資や担保余力の確保を前提に活用すべきです。
また、新たに購入した株も担保対象となるため、担保評価額が増えればさらなる借入=レバレッジをかけることも可能になります。
現在は以下のように使い分けています:
- 信用取引:短期トレード、空売り、相場の急変時に限定
- 証券担保ローン:納税資金の一時確保、副業資金、配当狙いの追加投資
現金を動かさずに済むので、生活資金を温存しながらリターンを追求できる戦略です。
信用取引と証券担保ローン、どちらが良いか?
結論はこうです:
- 短期でリスクを取れる上級者→信用取引
- 中長期の投資家・資産活用目的の人→証券担保ローン
楽天証券のサービスは「資産を売らずに資金を得る」ための現代的な選択肢です。副業・納税・資産形成・不動産投資など、多用途で使えるこの新サービス。焦って飛びつく必要はありませんが、選択肢に加えておくことで、未来の一手に大きな差がつくはずです。
よくある質問(Q&A)
- Q証券担保ローンとは何ですか?
- A
保有している株式やETFなどの有価証券を担保に、証券会社から現金を借りられるローンサービスです。使い道は自由で、納税・不動産購入・副業資金などにも利用できます。
- Q証券担保ローンの金利はどのくらいですか?
- A
楽天証券では借入金額に応じて1.875%〜3.875%の変動金利が設定されています。一般的な住宅ローンなどと比べて割高に見えますが、信用取引よりは安く、返済期限がない点もメリットです。
- Q他社と比べて楽天証券の証券担保ローンは有利?
- A
SBI証券や野村證券なども類似サービスを提供していますが、楽天証券は掛け目60%と比較的高く、一般ユーザーでも利用しやすいのが特徴です。ただし、金利や対象銘柄、口座条件などに差があります。
- Qどんな銘柄でも担保にできますか?
- A
いいえ。楽天証券の場合、原則として東証上場の株式やETFが対象で、1単元あたり評価額3万円以上という条件があります。投資信託やNISA口座内の銘柄は対象外です。
- Q証券担保ローンで節税はできますか?
- A
節税そのものができるわけではありませんが、納税時に一時的に資金が足りない場合、保有資産を売却せずにローンで支払うことで、保有株式の含み益を維持できます。結果的に節税の一助になることもあります。
※本記事は実体験と専門家の意見に基づくものであり、投資判断はご自身の責任で行ってください。
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