投資や奨学金返済とどれが得かを徹底比較
「学生の頃、年金免除してたけど、追納しろって通知が来た…」
「払うなら20万〜30万円。いやいや、そんな余裕ないし、これって払う意味あるの?」
そんな声、実はよく聞きます。
しかも、追納には時効(原則10年)があるため、「そろそろ期限が…」と焦って調べている方も多いはずです。
この記事では、追納 vs 投資(iDeCo・NISA)vs 奨学金返済という3つの選択肢を、メリット・デメリット含めて徹底比較。限られたお金をどう使うのが賢いのか?を整理していきます。
1. 「追納」ってそもそもなに?
まず前提を整理しましょう。
学生時代に「学生納付特例制度」を利用していた人は、保険料の支払いが免除されていました。ただしこれは「免除=払わなくていい」ではなく、「あとから払ってもいい」という“猶予”です。
その後、社会人になってから「追納通知」が届く。
中を見てみると、こう書いてあります。
「2年前の分を◯月までに追納できます。1年分で約20万円です」
高いですよね。しかも数年分となると、40万〜60万円になることもあります。
2. 追納するメリットとデメリットは?
✅ メリット
- 将来の年金が増える
追納した期間分、老齢基礎年金の金額が増加。1年分で年額約1.7万円UP(2025年度時点)。 - 障害・遺族年金の受給資格に関わる
将来、事故や病気で障害を負ったとき、「納付済期間が一定以上ないと受け取れない」ケースがあります。追納でそのリスクが減らせます。 - 社会保険料控除で節税効果も
追納した保険料は、所得控除にカウント可能。年末調整や確定申告で節税につながることも。
❌ デメリット
- 金額が高く、まとまった支出になる
2年分で約40万円。しかも2年超の分には加算金(利子)も発生。 - インフレに弱い
将来もらえる年金額は名目固定。物価が上がれば実質価値が目減りする可能性あり。 - “元が取れる”までに時間がかかる
1年で1.7万円の年金UPだと、20年生きてやっと元が取れる計算。早期に亡くなった場合は損するリスクも。
▶ 追納しないと、将来の年金はいくら減る?【1年ごとの差を確認】
年金の支給額は、1ヶ月の納付で将来もらえる金額が増える仕組みです。
実際にどれだけ違ってくるのか、以下のように試算できます。
状況 | 将来の年金額への影響(1年分) |
---|---|
1年間納付済 | 年額 約20,200円増加 |
学生納付特例(追納なし) | 0円(ノーカウント) |
学生納付特例(追納あり) | 年額 約20,200円増加 |
免除(全額免除) | 0円(資格にはカウント) |
未納 | 0円(資格にも悪影響) |
たとえば大学4年間を学生納付特例のまま放置すると、将来もらえる年金は年間で約8万円少なくなります。
仮に20年生きるとしたら…約160万円の差になります。
「たかが1年、されど1年」です。
▶ 追納の“元が取れる年数”は?
1年分の追納で年金が約20,000円増えると仮定すると、10年程度生きれば元が取れます。
つまり、
- 長生き前提の人 → 追納のコスパは良好
- 短命リスクや資金に不安 → 投資や返済の選択肢も検討を
3. じゃあ投資に回すのと比べてどうなの?
選択肢は「追納」だけではありません。
同じお金を老後資金として投資に回すという手もあります。
💡 iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 掛金が全額所得控除に(節税効果◎)
- 運用益は非課税
- 60歳まで引き出せない=老後資金に強制的にキープ
- 自分で投資商品(投信や定期)を選んで運用
👉 「老後に備えたい」「節税もしたい」人におすすめ
💡 NISA(新NISA制度)
- 年間360万円まで非課税枠で投資できる
- 運用益が非課税
- いつでも売却・換金できる自由さが魅力
- 投資初心者でも始めやすい商品多数(インデックス型など)
👉 「将来に向けて資産形成したい」「自由度重視」な人向け
4. 奨学金を返すという選択肢もある
もうひとつの「大きな支出」が、奨学金の返済です。
- 利子付き奨学金を借りているなら、年利は約0.5〜1.0%
- 「借金」という心理的プレッシャーがある
- 将来、住宅ローンや結婚資金に影響する可能性も
👉 「奨学金がまだ残っている」なら、まず返すのも合理的な選択です。
5. それぞれの使い道を表で比較
比較項目 | 年金追納 | iDeCo | NISA | 奨学金返済 |
---|---|---|---|---|
元本保証 | ◎ | ✕ | ✕ | ◎ |
老後の安心感 | ◎ | ◎ | △ | △ |
節税効果 | ○(保険料控除) | ◎(所得控除+運用非課税) | ○(運用非課税) | ✕ |
流動性(使いやすさ) | ✕ | ✕(60歳まで引き出し不可) | ◎ | ○ |
精神的メリット | 安心・制度活用 | 老後の不安軽減 | 資産増加の可能性 | 借金からの解放 |
6. どう判断すればいい?優先順位の目安
▶ 40万円をどう使う?リターンで比較してみた
選択肢 | 将来得られる金額の目安 | 補足 |
---|---|---|
年金追納(2年分) | 約80万円の年金(20年分) | 年4万円 × 20年、20年間の老後の収入が増える ただし受給前に亡くなればリターン減 |
iDeCoに投資 | 約88万円(年利4%で20年) | 節税効果(所得控除)も加味すればさらに上乗せ可能 |
NISAに投資 | 約88万円(年利4%で20年) | 非課税で20年運用 iDeCoより自由に引き出し可能 |
奨学金返済(年利1%) | 約8.7万円の利息回避 | 40万円×1%×20年で利息総額 約8.7万円 借金解消の心理的メリットあり |
✅ 優先①:追納の期限が迫っているなら、まず検討
- 加算金が発生する前に、1年分だけでも払う価値はある
- 将来の年金受給資格(10年)を満たしているかチェック
✅ 優先②:所得が多く節税効果を得たい → iDeCo
- 年収500万円以上の社会人は、節税額が年間5万〜10万円になることも
✅ 優先③:ライフイベントに備えて自由なお金を増やしたい → NISA
- 結婚・出産・住宅購入などに備えつつ、老後も視野に
✅ 優先④:利子付きの奨学金がある → 先に返すのもアリ
- 金利が1%以上なら「借金返済の方がリターンが高い」と考える人も多い
7. 我が家のケース:親子で話し合ってこうした
実際、我が家では大学時代に年金免除を受けており、社会人になって追納案内が届きました。金額は2年分で約40万円。
正直、家計にとっては痛い金額です。
家族で相談した結果――
- 基本的に全額追納
- iDeCoとNISAは給料から捻出して投資
- 奨学金は無利子だったので、返済は最低額で継続中
「どれが正解」ではなく、「どうバランスを取るか」が大事だと感じています。
まとめ:お金の使い方は、“今の自分”を基準に選ぼう
年金の追納は、確かに安心を買える制度です。
でも、まとまったお金の使い道は他にもある。
- 投資で将来に備える
- 奨学金を返して、借金のない人生に進む
正解はひとつじゃありません。
大切なのは「いまの自分にとって、どれが一番意味があるか」を考えることです。
今、あなたの目の前にある「数十万円」。
10年後、20年後に「払っておいてよかった」と思える選択ができますように。
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