彼女から「プロポーズはちゃんとしてほしい」と、かなり前から言われていました。それを聞いたときから、いつかはきちんと伝えようと心に決めていました。
同棲もしていたし、新婚旅行の行き先すら決まっていた。でも、やっぱり“けじめ”って大事なんですよね。「言葉で伝えることが大事」とわかっていたし、入籍するならプロポーズしないとなと思いました。
言葉にすればたった数秒。でも、そこに込めた思いや、準備にかけた時間と緊張と、少しの背伸びと、ささやかな演出。
今回は、そんな僕のプロポーズ体験記をお届けします。派手なことはしていないけれど、自分たちらしい時間を作れた夜の記録です。
プロポーズは、分かっていても伝える意味がある
その日は、彼女の誕生日。プレゼントを渡して、少し特別なレストランでディナーという構成は、もはやプロポーズと書いてあるようなもの。
実際、彼女も「今日は何かある」と確信していたようです。
婚約指輪もすでに一緒に選んでおり、彼女の好きなティファニーで準備済み。つまり、驚きはあまり期待できない。
それでも僕は、しっかりと段取りを整えて、想いを言葉にして伝えることに意味があると考えていました。
プロポーズとは、サプライズや義務ではなく、「自分の覚悟を言葉にする瞬間」だと信じていたからです。
正直、ケンカもよくしたけど、たくさん旅行行ったり思い出もたくさん作ったからこその今ここにきたとも思えました。
驚かせることよりも、気持ちを誠実に届けること。たとえ結果がわかっていても、プロポーズには意味があると思います。
プロポーズ前夜のこと
前夜は、ほとんど眠れませんでした。言葉に詰まったらどうしよう、彼女が怒ったらどうしよう、と緊張ばかり。
一人で何度も「結婚してください」と口に出して練習してみたり、当日の流れを頭の中でシミュレーションしたり。どうしても噛まないように、ゆっくり言おう、余計なことは言わず、伝えたいことだけを絞ろう、と自分に言い聞かせていました。
それでもやっぱり、当日になると緊張するんですよね。
プロポーズの舞台は「チャペル付きレストラン」
お店は、東京・築地の「RESTAURANT LUKE with SKY LOUNGE」。高層階から東京タワーとスカイツリーの両方が望める絶景レストランで、チャペルまで併設されている非日常空間。
お店にはプロポーズプランが用意されており、花束も用意してくれます。
事前に一度だけスタッフと打ち合わせを行いました。ケーキのメッセージ、花束のタイミング、プロポーズの順番など、細かい部分まで丁寧に相談に乗ってもらえたのは、初めての僕にとって心強かったです。
“やりすぎ”かもという気恥ずかしさがあった一方で、彼女への敬意を込めてきちんと段取りしたい気持ちが勝ちました。特にチャペル演出は大げさすぎるかなと迷いましたが、以前の旅行で彼女がチラッと「こんなところでプロポーズされたいな」とか言っていたことも思い出して、あえてお願いすることにしました。
ちなみに、レストラン選びの決め手は「景色」「演出サポート」「彼女の好み」で決めました。
すべてわかっていたけれど、それでも涙を流してくれた
ディナーは順調。夜景が彩る個室で、穏やかに時間が流れていきました。
でも、心の中は少し緊張していました。
「言葉、詰まったりしないかな」「不機嫌になったらどうしよう」なんてことを考えつつ、タイミングを見計らって「ちょっとトイレ」と言って席を立ちました。
スタッフに案内されてチャペルへ。そこには、真っ赤なバラの花束。そして、静かな時間。
彼女がチャペルに現れ、僕の目の前に立ったその瞬間、言葉を口にしました。
「一生幸せにします。結婚してください」
たったそれだけ。でも、心の中では、出会いからこれまでの時間が一気に押し寄せていました。
出会った頃は、将来のことなど何も考えていませんでした。
それが、気づけばそばにいるのが自然になり、いつの間にか、なくてはならない存在になっていました。
だからこそ、「ちゃんと伝えたい」と思ったのです。
彼女は、涙をボロボロこぼして静かに泣いていました。
驚きはなかったはずなのに。指輪だって、もう手にしていたのに。
それでも、あんなふうに涙を流してくれたことに、心から嬉しくなりました。
「こんなに嬉しいって思わなかった」と彼女が言ったとき、僕の緊張もやっとほどけました。
彼女は目元を手で押さえながら、「うれしい……ほんとに、うれしい」と言って涙をこぼしていました。その表情が、今でもはっきりと記憶に残っています
ケーキのメッセージと、静かな余韻
チャペルから戻ったあと、スタッフが運んできてくれたのは、メッセージ入りの特製ケーキ。「一生幸せにするね」の文字が、さりげなくお祝いの空気を運んできました。
それをみてまた涙目になる彼女。
二人でケーキを食べながら、緊張も涙もほどけて、ようやく普段の空気感に戻れた気がします。
彼女が笑っている顔を見て、「やってよかったな」と心から思いました。
プロポーズ翌日、彼女は朝から「昨日のこと思い出して泣きそう」と言っていました。
人生の中で、自分の言葉と気持ちをまっすぐ届ける場面は、意外と少ないものです。だからこそ、あの夜の出来事は、僕にとって特別な時間になりました。
これからプロポーズを考えている人へ
僕たちは、すでに同棲していて、新婚旅行の行き先も決まっていました。入籍も翌月でした。
「今さら感」もあったかもしれません。でも、プロポーズは「必要なもの」でした。
それは、タイミングの問題ではなく、気持ちにけじめをつけることだったと思います。けじめ=自分の覚悟を言葉にすることとも言えます。
形の問題ではなく、相手の気持ちにちゃんと向き合うこと。それを自分の言葉で伝えるという行動。それがプロポーズの本質なんだと感じました。
なので、これからプロポーズを考えている方がいたら、ぜひ伝えたいことがあります:
プロポーズを準備する際のヒント
- サプライズはなくても大丈夫。丁寧な準備が信頼になります
- 花束や演出は「あなたらしさ」が伝わるものを選んでください
- お店選びでは、サポートの充実度も重視すると安心です
- 言葉はシンプルで構いません。あなたの本心を届けてください
たとえば、僕の場合は「スタッフが予め段取りを組んでくれていたこと」は特に助かりました。当日もスタッフと合図が決まっていることがとても気持ちに余裕が生まれました。
あとがき:残したもの、心に残ったもの
花束はフリーズドライにして記念に残すこともできましたが、その日に持ち帰れないこともあり、持ち帰ることにしました。
でも、結婚式ではしっかり記念の花束として残しました。
今思えば、演出は少し大げさだったかもしれません。
でも、大切なのは「どう思われたか」ではなく、「ちゃんと気持ちが届いたか」。
泣いて、笑ってくれた彼女の顔が、すべてを物語っていました。
それが、僕にとっての“けじめ”であり、新しい人生の始まりだったのだと思います。
……ちなみに彼女は、「もしフラッシュモブなんてされたら、即座に却下してたかも」と後から冗談交じりに言っていました。
演出って本当に人それぞれ。
サプライズにもいろいろありますが、やっぱり“相手の性格をわかっていること”が一番のサプライズなのかもしれません。
ありがとうございました。
コメント