はじめに:出産前1か月で、生活が一気に「非日常」に変わった
里帰り出産のため、妻は予定日の少し前から先に実家へ。
僕は仕事の都合で少し遅れて合流しました。
それまで「なんとなくもうすぐ父になるらしい」というふわっとした感覚だったのが、
里帰り先の家にベビーグッズが並び始めたあたりから、
急に現実味を帯びてきます。
この記事では、
- 出産直前のぐりぐり検診(卵膜剥離)
- 無痛分娩の立ち会い
- 入院中に夫が実際にやったこと
- 「まだ父になった実感がない」リアルな心情
を、共働き夫目線でまとめてみます。
これから出産を迎えるパートナーさんの参考になればうれしいです。
【1】出産直前期:ぐりぐり検診と「心の準備と現実のギャップ」
妻が体験した「ぐりぐり検診(卵膜剥離)」とは?
予定日が近づいてきたある日、
いつもの妊婦健診のはずが、先生から
「体重の増加ペースが早いから、少し早めに産んだ方がいいかもね」
という一言。そしてそのまま、いわゆる「ぐりぐり検診」へ。
正式には卵膜剥離(らんまくはくり)と呼ばれる処置で、
子宮口のあたりを指で刺激して、卵膜の一部をはがし、
陣痛のきっかけをつくる…というものです。
私が合流した後で聞いた妻の感想はこんな感じでした。
「本陣痛の予行演習かと思った。
出産の中で一番これが痛かったって言う人の気持ち、ちょっと分かる…」
この時点で僕は、
- 出産=ドラマで見る「感動の瞬間」
- 直前期=地味だけど、じわじわ来る痛みと不安
という、自分の中のイメージとのギャップを思い知らされます。
「動いた方が早く産まれる」ジンクスと、夫の無力感
先生には当初、ベビの体重が小さめで、切迫早産気味だから
「基本的に安静にしてください」
と言われていました。
しかし、ここにきて先ほどの通り、
「早めに産んだ方が良いかも」
となり、そこから妻は、里帰り先の近所を毎日散歩。
僕も合流してからは、一緒にゆっくり歩きながら、
- ここまでの妊娠期間のこと
- 安静にと言われたから体重増えるのしゃーないやん
- 早くベビに会いたいね
なんて話をしていました。
ただ正直なところ、
「頑張って歩く妻」vs「隣で一緒に歩くことしかできない夫」という構図に、
ちょっとした無力感もありました。
しかし、それもすぐに終わってしまうことをその時の私たちは知りませんでした。
【2】里帰り先に合流して分かった「初孫バフ」と夫の微妙な立ち位置
初孫バフ、つよい
里帰り先は妻の実家。
出産前に有休と特別休暇を組み合わせて、
僕も予定日の2週間前から合流しました。
家に着いてまず感じたのは、
「初孫バフ」のエネルギー量です。
- ベビー布団や肌着、哺乳瓶などのグッズがすでにスタンバイ
- 食事は栄養たっぷりのメニューが並ぶ
- 検診の送迎も、車を出してもらえる
食事の心配がいらない、
移動の心配もいらない、
「何かあったらすぐ言ってね」と言ってもらえる。
控えめに言って、めちゃくちゃありがたい。
でもやっぱり、ちょっと気まずい
とはいえ、どれだけ歓迎してもらっていても、
妻の実家での僕のポジションはなかなか絶妙です。
- 自分の家ではないので、いつまでたっても若干“お客さん感”
- 気づいたら義母が洗い物や洗濯を全部済ませている
- 食事も何もかもお金を出してくれる
「いや、これは甘え過ぎでは…?」という罪悪感もふつふつと。
さらに、この後妻が入院中の期間は特に感じることに
そこで途中からは、意識的に
- 必要なことはすぐに相談する
- わんこが邪魔しないように遊び相手になる
- ゴミ出しやちょっとした片付けを率先する
など、「里帰り先のサポートスタッフ」として動くようにしました。
「完全なお客さん」から一歩抜け出して、
同じ家で戦うメンバーの一人として振る舞うだけで、
気まずさもだいぶ和らいだ気がします。
【3】出産当日:夫視点で見た「無痛分娩」の一日
無痛分娩を選んだ理由:痛み回避+体力温存
妻は、妊娠中から無痛分娩を希望していました。
理由はもちろん「痛くない方がいい」ということが理由です。
しかし、後から分かったそれ以上に良かった理由は、
「出産で体力を使い切るより、その後の育児に体力を残しておける」
という現実的な点でした。
共働きで、産後も夫婦でシフトを組みながら育児をする予定。
そうなると、
- 産後の回復が早い方がいい
- できるだけ前向きな気持ちで育児スタートを切りたい
というのは、かなり合理的な判断だと感じています。
特に無痛ではない場合、産後もしばらく痛みが続いてしまい、育児どころではなくなってしまう場合も多いらしい。
破水から入院まで
ぐりぐり検診から3日後のある早朝、妻からの一言で一気に空気が変わりました。
「なんか、ちょっと水が出た気がする…」
いわゆる「前期破水」です。
予定日までまだ10日以上あったのに。
病院に連絡し、指示に従って入院準備を整え、
そのまま病院へ向かいました。
この時点で僕の頭の中は、
- 忘れ物ないか?
- 立ち会いの手続き大丈夫か?
- ここから何時間くらいかかるんだろう?
と、完全に「タスクモード」。
感動とか余裕とかはまだ全然ありません。
バルーン処置という“最後の山場”
入院後、陣痛の進み具合を見ながら、
妻には再びバルーン処置が行われました。
簡単に言うと、
子宮口に小さな風船のような器具を入れ、
少しずつ膨らませて開きを進めていく
というものです。
妻が入院した病院は、無痛の麻酔をいれるまで私は立ち会うことはできませんでした。
この処置自体は、無痛の麻酔が効く前に行われるので、立ち会えず、チャットで連絡をとっていました。
妻いわく
「痛すぎてチャットなんて無理。あれが一番痛かったまである…」
とのこと。
バルーンを入れる前まで余裕でチャットしていたのに、プツリと連絡がなくなりました。あの時はめちゃ焦りました。
麻酔が効いてからの「静かな時間」
16時ごろ硬膜外麻酔が効き始めると、病院来ていいよと連絡。写メまで送ってくるほどの余裕さ。
病院に着くと妻の表情は柔らかく平然としていました。
「何も痛くないマジ神。無痛により余裕の表情である。(ドヤ顔)」
そこから数時間は、
- モニターで陣痛の波形を眺めつつ
- 今後の生活の話をし
- ちょっとした雑談をし
まるで病室でおだやかなひとときを過ごしているかのような時間が流れました。
クライマックス:出産は「チーム戦」だった
子宮口が全開になってからは、一気にクライマックスへ。
- 妻はいきむタイミングを助産師さんと合わせ
- 助産師さんは全体をリード
- 僕は妻の体を支えつつ、指示を耳元で伝え、水分補給担当
- 医師はほぼベビが出てそうになったら登場して臍の緒を切る、安全面をチェック
モニターの波と、助産師さんの「次の波でいきみましょう!」という声を聞きながら、
妻も麻酔が効いていてもいきむタイミングがわかるようで完璧な連携。
出産が完全に「チーム戦」であることを実感しました。
赤ちゃんの産声を聞いた瞬間、
涙が出る…かと思いきや、
一番に来たのは
「ああ、終わった……」
という、ものすごい安堵感と、
妻への感謝でした。
その後バタバタと検査などで分娩室から追い出され、待機。綺麗になったベビと対面しました。
「泣いてなかったね。」と妻からの冷静な一言まで頂きました。正直、感情が追いついていない感じ?
麻酔投入から約2時間半で出産が終わりました。
妻は麻酔が効きやすかったらしく、通常2時間で切れるのが長持ちしたそうです。
今回の病院では、麻酔の時間を延長できる準備はされていたようですが、病院によっては延長ができない病院もあるらしいです。
【4】出産直後〜入院期間:夫の「やること」が一気に増えた話
妻が入院中の夫タスクは想像以上に多い
「出産=ゴール」ではなく、「スタート」だとよく言われますが、
これは本当にその通りでした。
入院中だけでも、夫のやることは結構あります。
僕が実際にやっていたこと:
- 妻のパジャマやタオル類の回収&洗濯
- 妻の飲み物(ペットボトルのお茶大量)の差し入れ
- 必要な日用品の買い出し
- 妻の会社への手続きのサポート
- 義実家への状況報告・連携
「立ち会い出産を終えたら、しばらくは落ち着くだろう」
と思っていたのは完全に幻想で、
むしろここからがしっかり動くフェーズでした。
「完母じゃないとダメ?」問題と、混合育児という選択
生後まもないベビーは、
最初なかなか母乳だけでは足りず、
体重が少し減ってしまうこともあります。
うちのベビーも、産後すぐは体重が少し減り、
妻はかなり焦っていました。
「ちゃんと母乳を飲ませてあげられてないのかも…」
いわゆる「完母(完全母乳)」への憧れもあり、
プレッシャーが強かったようです。
そこで僕が意識したのは、
- 安心材料を伝えること
(「ミルクでも全然OKらしいよ」「完母じゃなくてでも元気に育ってる子はいっぱいいる」) - 共働き目線での現実的な話をすること
(「ミルクも使えた方が、夜間とかシフト制で回しやすいよね」)
結果として、
「完母にこだわらず、母乳+ミルクの混合でいこう」
という方針になりました。
それを決めてから、妻の緊張が少し和らいだのを見て、
「育児の正解は“理想”じゃなくて、“その家族が回るかどうか”だよな」
と実感しました。
入院中に「コース料理」が出てくる世界線
この病院には、「出産お疲れさまコース料理」がありました。
出産後の食事のメニューやタイミングを見計らって、
ちょっと豪華なご飯が出てきます。
妻は、
「股から人間出したんだから、これくらいのご褒美は必須やろ」
と言いながら、コース料理をしっかり堪能していました。
僕は「これが令和の出産か」なんて思いながら、妻が出産にネガティブな印象を減らしてくれるならそれも良いのかなと思いました。
【5】退院直前:実感はまだ薄いけど、責任だけはずっしり来る
「父になった実感」が、すぐには湧いてこない
もうすぐ妻も退院して実家に戻ってきます。
そして、いよいよベビーとの生活が始まります。
体重は約2.6kg。
思っていた以上に小さくて、
しかもあまり泣かないタイプ。
- 手は小さくて、握ると本当に軽い
- 泣かないのは楽だけど、その分「ちゃんと生きてるかな?」と不安になる
- そっと触って温かさを確認してしまう
正直に言うと、
「うおお、俺は父親だーー!!」
みたいなドラマチックな感情は、
この時点ではまだ来ていませんでした。
代わりに来たのは、
- この小さい命を、なんとかして守らないといけない
- 生活リズムどう組むか?
- 仕事との両立どうするか?
といった、タスクと責任の波です。
感情より先に、
「やるべきことリスト」が頭を支配する。
これもまた、父親あるあるなのかもしれません。
初めての“追撃うんち”で悟ったこと
妻が病院でおむつ替え初チャレンジしていた。
一度、セミナーで練習したとはいえ、まだまだ手つきはぎこちない。
- お尻を拭く
- 新しいおむつをセット
- よし、これで完璧!
と思ったその瞬間に、
「ブホッ」
と、追撃うんちが炸裂。
おむつセット後だから、被害は最小限だけど・・。もう一回交換か・・。
この瞬間に悟りました。
完璧を目指すより、
「まあこういうこともあるよね」と笑える余裕を持つことが、
一番のメンタルケアになるんだろうな。
おわりに:これから出産を迎えるパパへ
この記事は、一人の共働き夫が、
- 出産直前のぐりぐり検診
- 無痛分娩の立ち会い
- 入院中のサポート
- 退院後の「実感のなさ」と責任感
を、そのまま書き留めた記録です。
もし今これを読んでいるあなたが、
- もうすぐパパになる
- 立ち会い出産、正直ちょっと怖い
- 「何をすればいいか分からない」と悩んでいる
という状態なら、ひとつだけ伝えたいことがあります。
「完璧なパパ」なんていなくて大丈夫。
そのときその場で、できることをひとつずつやれば十分。
妻は体を張って出産という大仕事をこなします。
夫は「何かしなきゃ」と思いがちですが、
実際に役に立つのは、派手なサプライズよりも、
- 洗濯・差し入れ・おむつ替え
- 「ミルクでもいいよ」と言える柔らかさ
- そして、妻の味方で居続けること
といった、地味だけど確実なサポートでした。
この先、
「夫婦シフト制育児」や「ペットと赤ちゃんの共存生活」についても、
続編として書いていくつもりです。
同じように悩みながらもがいているパパ・ママの、
少しでも気休めやヒントになればうれしいです。


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