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無線設計で“勘ピュータ”卒業!?公式ツール×実践TipsでわかるLPWA通信の落とし穴

無線設計ツールを使って通信距離を確認するエンジニアとLPWAセンサー機器 働き方とIT活用
Circuit Design社の無線計算ツールで、電波が届かない原因を数値で把握。

「あれ…電波届かないんだけど?」

IoTの現場あるあるじゃないですか?
理論上は大丈夫だったはずのLPWA通信が、いざ設置したら「全然つながらんやん…」ってやつ。かく言う僕も、農業法人さん向けの環境センサー導入で、まさにその壁にぶち当たりました。

そんなとき出会ったのが、サーキットデザイン社の無線計算ツール
しかも全部Webブラウザで使えて、無料・会員登録不要という神仕様。

というわけで今回は、

  • 無線初心者でも使えるツールってどんなの?
  • 実際にどう使って効果があったの?
  • 使ってわかった注意点や落とし穴は?

という3本立てで、僕の“しくじりエピソード”とともに紹介します!


Circuit Design社の計算ツールとは?

こちらの公式サイトで公開されています👇
👉 https://www.circuitdesign.jp/technical/

ざっくり言うと「無線技術者が一度は使うべき計算ツール集」です。

代表的なツール一覧(めっちゃある)

ツール名使える場面コメント
dB計算ツール電力⇔dBm換算単位で混乱する人に◎
フレネルゾーン計算遮蔽物による減衰確認高さ調整の検討に
電波伝搬損失計算距離×周波数で減衰を算出LPWA向けに超便利
チャネルプラン計算周波数帯の干渉確認無線LANやLoRa利用時に
通信距離の目安理論値ざっくりチェック屋外・屋内パターンあり

画面はシンプルで使いやすく、スマホでも確認できちゃいます。


実際に使ってみた|農業IoT現場での事例

🌾 ケース1:ビニールハウスでLoRa通信が切れた…

💥 問題:

ハウス内のセンサーから親機まで30m弱。理論上は余裕のはずなのに、扉を閉めると通信が途絶える。

🛠 解決アプローチ:

  • 【使ったツール】
    • フレネルゾーン計算
    • 電波伝搬損失(屋内・屋外モデル)
  • 【気づき】
    扉と換気用の金属パネルが“フレネルゾーン”の中にガッツリ干渉してた…!
    アンテナの高さを1.4m→2.2mに上げたらつながった

✅ 結果:

計算ツールで障害物の影響を数値化して「なるほど」と納得。
クライアントにも「理論上も改善してます」と説明できて信頼感アップ。


ツールを使うときの“落とし穴”

❌ ミス1:単位変換ミス(dBmとmW)

電力値を入れる時、「あれ?mWで入れたっけ?」ってなるあるある。
→ 単位が合ってるかは最後に必ず確認!

❌ ミス2:フレネルゾーン=中心だけと思い込む

実は“横方向にも広がってる”ので、建物の柱や梁でも影響あり。
→ 特に屋内のLPWAでは注意!

❌ ミス3:環境パラメータをデフォルトのまま使う

屋内の減衰係数を“屋外”で使っちゃうと数値が全然違って設計ミスに…。


まとめ:ツールで“経験則”に裏付けを

無線設計って、感覚や経験に頼りがちですが、
計算ツールを使うだけで「説明できる設計」になるのが最大のメリット。

  • 「なぜこの位置か?」に答えられる
  • 「通信不安定の理由は何か?」が見えてくる
  • 「再設計」にも自信が持てる

無料でここまでできるのはありがたい。
使わない理由、ないでしょ。


使い分け早見表(保存版)

シーンまず使うモデル/観点追加で見るもの
屋外・短距離・高所LoSFSPLフレネル(60%クリア)
屋外・中距離・平坦2波モデルハイトパターン/ブレークポイント
屋外・広域奥村・秦地形&建物密度補正、実測で係数調整
倉庫/ハウス内経験的減衰+2波フレネル横ズレ、棚・梁の反射
共同柱・混在サイトIM3/遠近フィルタ、電力制御、方向性/距離確保

❓ FAQ:無線設計でよく出てくる専門用語

Q
フレネルゾーンとは?
A

送受信を結ぶ直線(見通し線)の周りにできる“電波の通り道”(回折の影響が強い楕円体領域)。第1フレネルゾーンの60%はできるだけ障害物が無いのが理想。

  • このゾーン内に障害物があると、電波が大きく減衰する。
  • 特に1次フレネルゾーンの確保が重要で、アンテナの高さを上げる理由はここにある。
Q
電波伝搬特性と「自由空間モデル」「2波モデル」 とは?
A

伝搬損失の代表的な近似モデル。環境で使い分けます。

  • 自由空間(FSPL)伝搬:障害物がない理想的な空間での伝搬。距離の2乗に反比例して減衰。
  • 2波モデル:電波が地面などで反射し、直接波と反射波が干渉する現実的なモデル。遠距離では減衰が急激に大きくなる。
  • 使い分け
    • 屋外・高所見通し・短距離 → FSPLで概算
    • 平坦地/水面/屋根上など“反射効く系”・中長距離 → 2波モデルが現実に近い
  • 設計Tips
    「距離だけは余裕」のつもりでも、高さが足りないと2波干渉でドロップしがち。先にブレークポイントとアンテナ高を当てておくと安定します。
Q
3次相互変調混信と遠近問題(Near-Far)とは?
A

複数の電波が混ざり合ってノイズが発生し、通信に影響する現象。

  • 3次相互変調(IM3)混信:強い電波が混ざることで新しい不要波が生じ、受信周波数に重なる問題。
  • 遠近問題:近くの強い信号が遠くの弱い信号をかき消してしまう現象。
  • 使いどころ(対策)
    高ダイナミックレンジ受信機・バンド/SAWフィルタチャンネル間隔送信パワー制御時間多重(Duty/Listen-Before-Talk)アンテナ指向性/アイソレーション
  • 設計Tips
    屋内実装や基地局の“共用柱”で発生しやすい。**「なぜか現場だけSNRが悪い」**ときは、強電界・IM3・近接強電波のチェックを。
Q
ハイトパターン とは?
A

アンテナの高さ(地上高)を変えたときの受信電界/パス損失の変化。実質、地面反射との干渉が主因で“高さ”に敏感です。ベース局の垂直(仰角)指向性やダウンチルトの議論とセットになることも。

  • 使いどころ
    屋外LPWA/HaLow/特小などで“何mに立てると一番つながるか”を見積もる。倉庫/ハウスでも梁・棚を避けられる高さを探る。
  • 設計Tips
    2波モデルのブレークポイント前後で最適高さが動く。まずは**1.5m, 2.5m, 3.5m…**の“段階試験”でピークを探すのが速い。
Q
奥村・秦カーブ(Okumura-Hata)とは?
A

都市・郊外・地方での実測に基づく経験式の大域伝搬モデル周波数150–1500MHz、距離1–20km、基地局高30–200mなどで妥当。セルラーや広域LPWAの現実的な損失見積に強い。

  • 屋外の都市・郊外・山間部などで電波がどれくらい届くかを推定できる。
  • モバイル基地局設計やLPWAのカバレッジ検討に活用される。
  • 使いどころ
    広域リンクのプランニング、エリア可否の早見、建物密度の影響の把握。
  • 設計Tips
    目安を出すには最強。屋内や超近距離は別モデル併用が無難。サブGHzのLPWAは適合範囲に近く、初期見積り→現地補正が速い。

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