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LPWAとは?主要通信規格を初心者向けに比較解説|IoT導入前に知るべき基礎知識

LPWAの主要通信規格を初心者向けに比較する解説記事のサムネイル画像。キャラクターとともに「LPWAとは?」などのテキストがわかりやすく表示されている。 働き方とIT活用
LPWA(Low Power Wide Area)の通信規格を、初心者でも理解しやすく比較した記事のアイキャッチ画像です。

LPWAって何?まずは基本から

LPWA(Low Power Wide Area)は、省電力かつ広範囲の無線通信を可能にする通信技術です。近年、センサーや小型デバイスを使ったIoT(モノのインターネット)システムが増える中、Wi-FiやBluetoothでは届かない距離、かつ電池交換不要な通信手段として注目されています。

スマート農業、防犯システム、インフラ監視、物流追跡など、「遠くにある機器と、長期間、低コストでつながる」ことが求められる現場で、LPWAはその実力を発揮します。


なぜ今LPWAが必要とされているのか?

従来の通信方式には次のような課題がありました:

  • Wi-Fi・Bluetooth: 消費電力が高く、通信距離も数十m程度。電源が確保できる屋内用途向き。
  • 4G/5Gなどのモバイル通信: 通信は安定しているが、SIM契約が必要で通信費が高額。

これに対してLPWAは:

  • 数km〜数十kmの通信距離
  • 数年単位で電池交換不要
  • 低通信量(数kbps〜数Mbps)の用途に最適
  • SIM契約不要の方式もあるためコストも抑えられる

つまり、「広く・安く・長持ち」というIoTに理想的な条件を満たしているのです。


主要なLPWA通信方式の特徴

ここでは、代表的な5つのLPWA規格を紹介します。

1. LoRaWAN(ローラワン)

  • 周波数帯:920MHz(日本)/免許不要
  • 通信距離:〜10km以上(環境次第)
  • 通信速度:〜50kbps程度
  • 特長: 自社内にゲートウェイを設置して独自ネットワークを構築可能。スマート農業や施設内のセンサーネットワークに強い。

✅向いている用途:自営網、農業、自治体のスマートシティ構想


2. Sigfox(シグフォックス)

  • 周波数帯:920MHz(日本)/免許不要
  • 通信距離:〜数十km(郊外)
  • 通信速度:100bps程度/一方向通信が主
  • 特長: 1日あたり140回という送信回数制限があるが、その分バッテリー寿命は10年超も可能。コストは非常に低い。

✅向いている用途:位置情報の定期送信、構造物の異常通知など


3. LTE-M(Cat-M1)

  • 周波数帯:LTE網(キャリア回線利用)
  • 通信距離:〜数km(都市部もカバー)
  • 通信速度:〜1Mbps/双方向通信可
  • 特長: 音声通話やSMSにも対応可能なセルラーLPWA。信頼性が高く、既存の携帯電話ネットワークを活用。

✅向いている用途:物流、遠隔設備監視、車載機器など


4. NB-IoT

  • 周波数帯:LTE網内の一部(キャリア依存)
  • 通信距離:LTE-Mよりやや短め
  • 通信速度:LoRaと同等〜やや高速/双方向通信
  • 特長: 地下やビル内などの電波が届きにくい場所に強く、長期安定通信が可能。

✅向いている用途:都市インフラ、水道メーター、スマートビル設備


5. Wi-Fi HaLow(802.11ah)

  • 周波数帯:920MHz(日本)
  • 通信距離:〜1km
  • 通信速度:〜1Mbps/双方向通信
  • 特長: Wi-Fiと同じ技術基盤ながら、低消費電力・長距離通信を可能にした新技術。Wi-Fi親和性が高く設定も容易。

✅向いている用途:農業、防犯カメラ、屋外センサー


主要LPWA通信の比較表

通信方式通信距離消費電力通信速度双方向通信導入コスト特徴
LoRaWAN◎(〜10km)△(数kbps)△(ゲートウェイ必要)自営網/柔軟性あり
Sigfox◎(〜数十km)◎◎×(超低速)×◎(月数十円)超省電力/一方向通信主体
LTE-M○(〜数km)◎(〜1Mbps)△(SIM必要)キャリア品質/音声対応あり
NB-IoT地下・建物内通信に強い
Wi-Fi HaLow○(〜1km)○(1Mbps)Wi-Fi互換性/中距離用途に有効

用途別:どの通信方式を選ぶべき?

用途/目的おすすめ通信方式理由
スマート農業LoRaWAN/Wi-Fi HaLow電源不要、広い敷地、ゲートウェイ運用が可能
建設現場の防犯・見守りWi-Fi HaLow映像対応、設置が簡単、バッテリー駆動可能
インフラ設備の遠隔監視NB-IoT建物内・地下でも安定、SIM契約で信頼性あり
コスト重視の大量センサーSigfox圧倒的低コスト、簡易通知向き
車載・物流機器LTE-Mモバイル圏内の追跡、双方向通信に対応

今後のLPWA通信の展望

  • キャリア系(LTE-M、NB-IoT)と非キャリア系(LoRa、Sigfox)で役割分担が明確化
  • AI・クラウドとの連携でスマート化が進む
  • 地方自治体や農業法人などのIoT導入を後押しする“鍵”としてさらに普及が期待される

日本では今後、補助金対象事業にもLPWA通信活用が増えると見られており、選定眼が企業や自治体の競争力に直結する時代が来ています。


まとめ:LPWAはIoT時代の“縁の下の力持ち”

LPWA通信は、IoT化を現実にするための現場寄りのインフラ技術です。華やかな技術ではありませんが、「届く」「長持ち」「安い」という現場のニーズに最も合致しています。

  • LPWAにもさまざまな規格がある
  • 自社や導入目的に合った選定が不可欠
  • 初心者も「通信方式の違い」を理解すれば、IoT導入が一気に現実的になる

次のステップは、実際の製品や導入事例を見ながら、具体的な選択肢を検討すること。通信規格の正しい理解が、IoT成功への第一歩です。

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