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自動化の天才が陥った皮肉な罠:効率化で自分の仕事が消滅した話

自動化成功後にデスクで虚無感を覚える社内SE。AI時代に仕事が消滅した状況を象徴。 働き方とIT活用
完璧な自動化がもたらしたのは、効率化ではなく「虚無」だった。AI時代、あなたの仕事は本当に安全ですか?

自動化の天才、爆誕(そして消滅の始まり)

突然ですが、私は「自分の仕事を完璧に自動化し、自分の存在意義を失った」男です。

これは私の実話ですが、実は今、皆さんの仕事にも同じことが起き始めています。

ChatGPTのようなAIアシスタントが普及し、定型的なメール作成、資料の要約、データ分析の一部など、かつて「人間の仕事」だったものが次々とAIに置き換わっています。

私の体験は、まさにこのAI時代の予行演習でした。インフラ構築というコアな業務を自動化しすぎた結果、「あれ? 誰も、私を呼ばなくなった」という究極の虚無に直面したのです。

私が目指した「効率化の成功」は、そのまま「私の仕事の消滅」を意味していました。これは、AI時代に誰もが直面するかもしれない、皮肉で笑えない実録です。

第1章:「夢のシステム」の構築:自動化の全貌と成功体験

かつて、私の仕事は常に火の車でした。

ITインフラ基盤を維持管理する社内SE時代、新規システムの立ち上げ依頼が来るたび、物理・仮想サーバーの構築、ネットワーク設定、IPアドレス管理…全てが手作業、そしてExcelベースの管理で「人」に依存していました。

「この非効率を何とかしたい」

私は一念発起し、以下の仕組みを構築しました。

  1. インフラ自動構築(コア業務の排除): VMwareのシステムをベースに、ユーザーからの申請パラメータ(必要なCPU、メモリ、ディスク容量など)を元に、仮想サーバーやネットワークを自動で構築し、払い出す仕組みを実装。
  2. ワークフロー化(依頼窓口の排除): 新規構築依頼は全てWebの申請フォームからのみ受け付け。自動構築のパラメータもここから生成され、人手を介しません。
  3. QAのWeb公開(問い合わせの排除): よくある問い合わせやトラブルシューティングはWebに公開し、ルーチン的な質問を完全に排除。

結果、私が本来持っていた**「インフラ構築」と「日常のルーチン対応」の工数は、ほぼゼロになりました**。上司は「これで新しいプロジェクトに人を回せる」と絶賛。私は成功者としてチヤホヤされました。

この時の達成感は、人生で最高のものの一つでした。

第2章:仕事は消え、金が湧いた日

ルーチンワークが消えただけではありません。私はさらに一歩進んだ「社内ビジネス」まで構築してしまいました。

【裏の成功】自動化で生まれた時間で、私は金の流れを作った

自動化で工数が減ったことを良いことに、私は空いた時間で、システムの「経費徴収(付け替え)」の仕組みを構築しました。

  • 利用部門からITインフラの利用料を徴収(部門予算からIT部門予算へ付け替え)。
  • 集めた費用をIT基盤のリプレースや拡張計画に充当し、全てを自前で回す。

これにより、私のIT部門は「社内で金を稼ぐ部門」へと変貌しました。

上層部は、私が構築したシステムによる工数削減と、この「部門内で費用が回る仕組み」の実現に大満足です。私はシステムを監視するだけで、自動でインフラが構築され、自動で金が回るという、ある意味**「働かなくても成果が出る」給料泥棒状態**に突入しました。

第3章:効率の先にあった「虚無」と孤独

誰もが望む理想的な状態。しかし、私の心には急速に虚無感が広がっていきました。

システムが完璧すぎたのです。

  • 自動構築なので、設定ミスやトラブルが激減。
  • トラブルが起きても自動で再起動することでほとんどの問題は解決。ルーチン的なものはマニュアルとQAで自己解決される。
  • システム運用は業務委託に切り出したため、私の作業はゼロ。

—誰も、私を呼ばなくなった。

以前は「サーバーの件で」「ネットワークが」と毎日誰かしら私の名前を呼んでいました。それが、メールも電話もピタリと止まりました。

会議もありません。インフラが安定しているため、私が出席する理由がないのです。

デスクで一日中、システムの稼働ログを眺めている自分。システムは動いている。金は回っている。会社は成果に満足している。でも、「私がこの会社にいる理由」は何だろう?

達成感の後に残ったのは、「自分は何者なのか?」という自己存在への問いかけでした。

皮肉なことに、私が自動化を成功させた瞬間、インフラ担当としての“人間の出番”は終わったのです。効率化の成功は、そのまま自分の「敗北」でした。

第4章:虚無を打ち破るための次の挑戦

この虚無感こそが、私にとって最大の転機となりました。

雇われ業務としての「インフラ管理」から解放されたことで、私はビジネスの視点に目覚めました。

経費徴収の仕組みで「金を回す」ことに成功した体験から、「自分が作った仕組みが、事業を動かす」というビジネスの面白さに強く惹かれたのです。

  • 視点の転換:「決められた業務をこなす意識」から、「価値を生み、お金を稼ぎ、事業を前に進める意識」へ。
  • 次の決断:「この環境から抜け出さなければ、私はこのデスクで腐る」と直感。

私はIT系の営業部門への異動を願い出ました。

「仕事がないから逃げた」のではなく、「自分の能力を、もっと直接的にビジネスの最前線で使いたい」という、前向きな衝動でした。

結論:それでも私は自動化を信じる

結論から言いましょう。「効率化でクビになるかもしれない話」は、半分は本当です。

あなたの仕事が完璧にAIに自動化されたら、ルーチン業務担当者としてのあなたは、一旦「卒業」です。

でも、怖がる必要はありません。なぜなら、AIが奪うのは、あなたが一番やりたくなかった「雑用」と「ルーチンワーク」だけだからです。

考えてみてください。あなたが本当に必要とされるのは、VMwareのパラメータなどのデータをポチポチ入力することですか?違いますよね。

AIアシスタントの進化は、私たちを「人間らしい仕事」へと強制的にアップグレードさせる、最強のスパルタ教師なんです。

私にとって、この「仕事消滅事件」は、雇われSEからビジネス視点を持つ人間になるための強制的な方向転換でした。自動化で手に入れた時間と、社内ビジネスを回した経験。これらは、次に新しい世界に飛び出すための、最高の「運転資金」になりました。

だから、あなたの目の前の作業が自動化されても、落ち込む必要はありません。

「よし、クビの危機はチャンス!」 と、ニヤリと笑ってください。

雑用から解放されたあなたは、次に何を創り出し、何を売りますか? 私のように、次のステージの「酒代」を稼ぎにいきましょう。自動化はそのための、最高のブーストエンジンです。AIアシスタントは、単なるツールではなく、あなたのキャリアを強制的に進化させる最高のブーストエンジンです。活用しない手はないですね。

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